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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十章・永倉の恋?

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無自覚小悪魔小太郎

「俺を担いで逃げる兄さん、なかなか面白かったので……」


「お前なぁ!俺がどんな気持ちで……」


「分かってます、兄さんの気持ち。だから……いざという時は……俺を攫って逃げて欲しいです」


 小太郎は時々思い切ったことを言う。

 

 それはつまり、永倉と一緒に駆け落ちしようということだった。


 だが永倉の性格上、そんなことはできないと分かった上で、小太郎はそんなことを言ったのだ。


「お、お前……それは酷いぞ!!俺が……」


「分かってます。だから『いざという時』です」


 ね?と言って小首を傾げる小太郎。その仕草がなんとも可愛い。何でも言うことを聞いてしまいそうだ。


 これが惚れた弱みってやつか。


 永倉は頭を抱えた。


(もしかしたらあの三人より俺が一番重症かもしれねえ……)


 あの三人とは斉藤と沖田、それと虎之助のことだ。


「……ああ、『いざという時』にはな!でも台所はこれからも確認させてくれ!お前は危機感がなさすぎるからな」


「はい、いつでも来て下さい」


 そう言うと小太郎は、永倉の着物の裾を少しだけ引っ張った。


「……兄さん。屯所に戻るまで、もう少しこうしてて良いですか?」


「…………お前それわざとやってんのか?」


「えっ?わざと……?」


「ッあぁ〜!!可哀想な俺ェェェェ!!よりによってこんな女子(おなご)に惚れちまって!!」


 永倉は頭を抱えた。


「……変な兄さん。ふふっ」


 そう小さく笑う小太郎は、永倉の肩に頭を預けたかと思うとすぅ、とそのうち寝てしまった。


(小太郎、寝たのか?動きっぱなしだったからな)


 永倉は黙って小太郎を羽織りの中に抱きしめ直した。


「可愛い顔で寝やがって」


 そう言うと永倉は小太郎の前髪を愛おしそうにいじった。


 街中が目覚め始めていた。

 

 店は暖簾を出し、「商い中」の看板が出始めた。


(ああ、屯所は今頃大騒ぎだろうな……)

永倉の兄さん可哀想に笑


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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