殺気から逃げた先で。
永倉は沖田の殺気から守るため小太郎を小脇に抱えて逃げた。
「ハァ、ハァ……ここまで来れば安心だろ」
小脇に抱えていた小太郎を丁寧におろしながら、永倉はホッとため息をこぼした。
「兄さんすみません。沖田さんがなぜか急に怒り出しちまって……」
二人は屯所からずっと離れた街中にいた。
「大丈夫かな、朝餉……」
「大丈夫かはお前だよ小太郎!総司の殺気と、あんな切先向けられて……」
そう言われて小太郎は困ったように微笑んだ。
「……大丈夫ですよ、篝がいたので。篝は何故か沖田さんと仲が良いし、篝が本気で怒るようなことは……沖田さんはしないと思うので……」
「ハァ〜、お前は危機感がないなぁ!全く!」
永倉は頭をガシガシとしながら小太郎を自分の方に引き寄せた。
「……俺はお前が心配なんだよ小太郎……」
「兄さん……」
「ッはー!やっぱダメだ!」
そう吐き捨てるように言ったかと思うと、永倉は今度は小太郎をしっかり抱きしめた。
(俺が新撰組にいる限り、この気持ちは収めておこうと思ったのに)
「柔けえな、小太郎」
「……ッ!//」
「柔らかくて小さくて、男所帯の屯所に男だと偽って平気でちょこまかしてる女」
「……兄さん?」
小太郎は永倉が何が言いたいのかわからなかった。
「お前の正体を知っているのは、屯所では俺だけだ。な?」
永倉は小太郎を抱きしめる力を強めた。
「だけど、お前が男と話してると嫌だ。それが総司だろうが、明彦だろうが、末端の隊士だろうが。全部嫌だ」
(だけど俺は新撰組で。でも……)
「気付いたらお前を目で追っちまう。一体俺はどうしたら良いんだ??」
小太郎を抱きしめたまま、永倉はそこらの岩に腰掛けた。
「兄さん、すみません。俺のことで気を揉ませちまって。でも俺、自分の身は自分で守れます」
「小太郎……」
「でも、今朝みたいに不測の事態があったときには……」
ん?と永倉が小太郎の方を見ると、その前髪はいつのまにか上がっていて。綺麗な白い肌と瞳が丸見えだった。
可愛いなぁオイ!!//
「俺を今日みたいに担いで逃げてください。ふふっ」
そう微笑む小太郎の姿は、どんな女よりも美しく見えた。
小太郎って、無自覚な小悪魔な感じがします。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




