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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第二十章・永倉の恋?

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殺気から逃げた先で。

永倉は沖田の殺気から守るため小太郎を小脇に抱えて逃げた。

「ハァ、ハァ……ここまで来れば安心だろ」


 小脇に抱えていた小太郎を丁寧におろしながら、永倉はホッとため息をこぼした。


「兄さんすみません。沖田さんがなぜか急に怒り出しちまって……」


 二人は屯所からずっと離れた街中(まちなか)にいた。


「大丈夫かな、朝餉(あさげ)……」


「大丈夫かはお前だよ小太郎!総司の殺気と、あんな切先向けられて……」


 そう言われて小太郎は困ったように微笑んだ。


「……大丈夫ですよ、篝がいたので。篝は何故か沖田さんと仲が良いし、篝が本気で怒るようなことは……沖田さんはしないと思うので……」


「ハァ〜、お前は危機感がないなぁ!全く!」


 永倉は頭をガシガシとしながら小太郎を自分の方に引き寄せた。


「……俺はお前が心配なんだよ小太郎……」


「兄さん……」


「ッはー!やっぱダメだ!」


 そう吐き捨てるように言ったかと思うと、永倉は今度は小太郎をしっかり抱きしめた。


(俺が新撰組にいる限り、この気持ちは収めておこうと思ったのに)


「柔けえな、小太郎」


「……ッ!//」


「柔らかくて小さくて、男所帯の屯所に男だと偽って平気でちょこまかしてる女」


「……兄さん?」


 小太郎は永倉が何が言いたいのかわからなかった。


「お前の正体を知っているのは、屯所では俺だけだ。な?」


 永倉は小太郎を抱きしめる力を強めた。


「だけど、お前が男と話してると嫌だ。それが総司だろうが、明彦だろうが、末端の隊士だろうが。全部嫌だ」


(だけど俺は新撰組で。でも……)


「気付いたらお前を目で追っちまう。一体俺はどうしたら良いんだ??」


 小太郎を抱きしめたまま、永倉はそこらの岩に腰掛けた。


「兄さん、すみません。俺のことで気を揉ませちまって。でも俺、自分の身は自分で守れます」


「小太郎……」


「でも、今朝みたいに不測の事態があったときには……」


 ん?と永倉が小太郎の方を見ると、その前髪はいつのまにか上がっていて。綺麗な白い肌と瞳が丸見えだった。


 可愛いなぁオイ!!//


「俺を今日みたいに担いで逃げてください。ふふっ」


 そう微笑む小太郎の姿は、どんな女よりも美しく見えた。

小太郎って、無自覚な小悪魔な感じがします。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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