沖田の殺気と小太郎の心配
小太郎と篝は台所で楽しく話していた。
そこへ何故か殺気を放つ沖田が現れて……
「ところで今朝の飯はなんだ?」
小太郎が言うには今日の朝餉は釜の麦飯、豆腐と葱の味噌汁、たくあん、それと昨日の晩の残りの煮物だそうだ。
美味そ〜!!!!
「篝の分も取ってあるから」
私の顔を見て察したのか、小太郎が眉根を下げて仕方無さそうに言う。
「ありがとう〜!!お前がいてよかった!」
私は感動のあまり小太郎を抱きしめてしまった!
その瞬間ーー
すうっ……
まるで真冬の風が吹き込んだように、空気が冷えた。
音もなく、気配すらなく。
『斬る側』の人間だけが持つ空気が、台所を満たした。
「あれ?馬鹿犬じゃねぇか?何してんだこんな所で。朝メシならまだだぞ、な、小太郎」
「うぐぅ〜!!」
そう言って小太郎の方に目を向けると、私の胸で圧迫されていた。
私は慌てて小太郎を離した。
「ごめんごめん!つい嬉しくて力加減間違えちまった」
「ぷは!本当篝は加減を知らないんだから!!」
「…………ねぇ。君、篝の何なの?」
沖田は一瞬で抜刀し、小太郎に刃先を向けていた。なんだこいつ。自分のメシを作ってくれる奴に刀を向けるとか正気か?
「えっ……」
「馬鹿犬やめろよ。こいつはただの台所係だぞ??」
私は小太郎を庇うようにして立つ。
「斬るなら私が相手だ。小太郎を巻き込むな」
「そいつ(小太郎)は僕の山猫に触れた!」
「えっ……」
台所にしばしの沈黙が満ちた。何かを察したらしい小太郎は馬鹿犬の殺気に怯えながらも味噌汁を温め始めた。
「馬鹿犬何言ってんだ。小太郎は私の馴染みで、恩人だっての」
時刻は朝五つ(午前七時半頃)前、そろそろ隊士たちが腹を空かしてここにくる時間だ。
「……それでも僕は許せない」
「なんでだよ!」
私たちが喧嘩しそうになったその時だった。
「小太郎、無事か!?」
酒飲みの壬生狼、永倉がどこからともなく現れて小太郎を沖田から守るようにして立った。
壬生狼は体がでかいので、小柄な小太郎は完全に隠れてしまった。
へぇ、たまには壬生狼も役に立つじゃん。
「兄さん……俺は平気です。でも朝餉が……どうしましょう。もうすぐ隊士たちが起きてきます」
「こんな時まで朝メシの心配かよ!とにかく逃げるぞ!」
そう言って永倉は無理矢理小太郎を小脇に抱えてその場を離れた。
「あ、沖田さん!隊士たちの朝餉を……」
「いいから黙ってろお前は!殺されたいのか!!」
永倉と小太郎の声があっという間に遠くなって行った。
まあ抜刀してる馬鹿犬を前にして、立ち向かえる人間なんざいねぇな。
「私の他にはな!」
そう言って私は馬鹿犬の前に立ちはだかった。
「お前が何に対してそんなに怒ってるのかしらねぇが、相手してやるよ!」
この二人(沖田と篝)はいつもこの調子ですね。
小太郎は身長が139センチと小さいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




