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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十九章・壬生の台所係

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まさに野生の獣!

沖田と篝を見て、小太郎はあることを思いつくが……

 これだ!!


「それでは今から『猪の肉をうまく捌いた方が勝ちゲーム』を開催する!」


 大きな木のまな板の上には、丸々と太った猪ーーが二人分並んでいた。


 俺の考えはこうだ。沖田さんと篝を競争させる。


 我ながら何を言ってるのかわからないけど、この二人には『争うこと』が一番相性がいいはずだ。


「へぇ……山猫が同じ獣を捌くことなんかできるんですかねぇ?」


「はっ、こんなモン朝メシ前だ。いつも倒してそのまま引きちぎって食ってるからな!!」


 ……ほら、俺の読み通り。二人は競わせるのが一番いい。


 実はあの猪は俺が今朝仕留めた物だ。俺は剣の腕はイマイチだが、弓の腕には自信がある。


 猪の捌きは二人に任せ、俺は続きに取り掛かる。

 

 さっさと料理を終わらせて、夜八つ(22時頃)には菓子作りをして……


 と、俺が野菜を洗い、切り、忙しなく動いていると……


「テメェ!!わざと血ィぶっかけやがったな!」


「……いえ、そんなことしていません。山猫が荒っぽいから太い血管を切ったんじゃないですか?」


 うわうわうわ。ちょっと目を離した隙に篝がすごいことになっていた。篝の衣服は猪の血に塗れ、片手には猪の肉片。

 

 まさに野生の獣!


「ちょっ、ちょっと!篝!やはりあんたには台所仕事なんて早かったみたいだ」


 俺は慌てて篝の血まみれの衣服を布で拭く。

 猪の血があっという間に布に染みていく。


「小太郎さん、あとはこの猪をこの鍋に放り込んでればいいんですか?」


「そうそう!って待って篝!その格好のままうろつくなって!今はお前の方が壬生狼っぽいぞ!」


「久しぶりに食ったけどやっぱうまいなあ!!」


 沖田さんと残りの仕事を残して、俺はひとまず台所を後にした。


さすが野生の獣。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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