優しい永倉の兄さん
俺の顔に浮かぶ疑問符をめざとく見つけた兄さんがそう戒める。
「はぁ……」
「それよりも見てくれ、お前の好きな甘味を持ってきた。小太郎が作ってくれたんだ」
「あ、これ良かったらどうぞ」
そう言って俺は艶々なみたらし団子を差し出す。
「わぁ〜美味しそう!私も食べてもいいかしら?」
「あ、ど、どうぞ。えと……」
「ときと申しますわ!」
「おときさん……」
(おときさん、なんかふわふわしてていいな。いかにも女の子って感じで……白が似合って、花も似合いそう)
「……ほう、甘味とな……」
斉藤さんが若干の殺気?を放って近付いてくる。
いや、なんで殺気?
おときさんを庇うようにして座ると、斉藤さんは団子に手をつけた。
「ん!美味い!」
「美味しいです!まだ少し暖かくて、もちもちしてる。小太郎さんが作ったんですか??」
「は、はい!//」
「まあ、今度ときにも教えてくださいな!」
「お前は絶対ダメだ!!」
斉藤さんがおときさんにそう言って怒る。おときさんは慣れているようで、特に気にせずもう一つ団子を手に取る。
(なんか、いいな。このお二人……斉藤さんは不器用だけどおときさんを心配してるし、おときさんは斉藤さんを信用してるし……)
「……さて、団子も配ったことだし、俺らは戻るか〜。はじめ、今度からこの小太郎が台所係だ!甘味を作って欲しい時にはこの小太郎に頼むといいぞ!」
(えっ?もしかして、兄さん……)
「兄さん、もしかして俺が堂々と台所で甘味を作れるようにしてくれたんですか?」
俺は斉藤さんの書院を出た時に兄さんに聞いてみた。
「ん?ああ……はじめは会津公(容保公)の信頼が厚いからな。もっと台所を広くしてくれるように口利きしてくれると思うぞ!」
「わぁ!兄さん!ありがとう//」
俺は思わず兄さんに抱きついた。
(俺のような末端の隊士にも……優しくしてくれて。新撰組って全然『壬生狼』じゃないんだよな)
永倉の兄さんて、わちゃわちゃした新撰組の中でも、周りをちゃんと見れてますよね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




