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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十九章・壬生の台所係

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壬生の台所係・小太郎

新章突入、新キャラの小太郎も出てきますが、この物語の雰囲気は変わりません(汗)

 俺は雨宮小太郎。元足軽で、一応武家の出身だったんだけど、今はこの新撰組の台所で働いてる。


 俺は料理とお菓子作りが得意で、暇さえあれば台所にいて料理とかお菓子を作ってたんだけど……


 武家に産まれた者が、下働きがやるような仕事をするなと言われて、趣味だったお菓子作りも取り上げられそうになったから、嫌になって逃げたんだ。


 一応家には兄弟がたくさんいるし。

 

 そんなかの誰かが「雨宮」の名を継いでいくって思ったから。


 俺は剣より包丁が好きだし、俺の料理を食べてくれて美味い美味いって食べてくれる隊士たちの笑顔が見れることが何よりの幸せだ。


 それでなぜ今は「新撰組」の台所で働いているかというと……


「新撰組」はただでさえ異様な集団だし。『壬生狼』といって毛嫌いする人もいる。

 血の気も多い人ばっかりだし、ばあちゃん達から身を隠すのにこれほど適した場所はない。


 しかも台所係ときた!


「新撰組の台所係募集」の立て看板を見た時には天職がやってきたと飛び上がって喜んだ。


「おお!小太郎!今日も朝から精が出るねぇ」


 といって話しかけてくれたのは永倉さん。

 俺は親しみを込めて兄さんって呼んでいる。


 だって、こんな末端の台所係に声かけてくれるような人他にいない。


「永倉の兄さん、今日は新作の団子を作ってみたんです。味見をお願いします」


「おお、こりゃ美味い!」


「へへ……」


「あ、そういえば」


 と思い出したように兄さんは言う。


「ちょうどいい甘党のやつがもう一人いたぜ。はじめっつーやつなんだけどよ」


 * * *


 壬生屯所・斉藤の書院にてーー


「……はー……」


 俺は団子を持ったまま書院を眺めた。屯所にもこんなところがあったんだな。

 まるで客間?書院の周りの池には鯉が泳いでいて、時々魚が跳ねる音が聞こえる。


「はじめ〜、邪魔するぜ!」


 永倉の兄さんがそう言って襖を開けた時、小柄な女子(おなご)を膝に乗せた斉藤さんが目に入った。


「あら!初めてのお客さん?師匠のお知り合い?ずいぶん長い前髪の方なのね!」


(※小太郎は前髪を伸ばしており、俗に言うメカクレにしています)


 師匠??


 ふと文机を見ると、赤い文字でいくつも添削された文が乗っていた。


(なるほど、このお二人は師弟関係なんだな。でもどうして膝の上なんかに??)


「小太郎、あの二人のことは考えちゃダメだ。恋仲ってなんだっけ?てなるから」


 俺の顔に浮かぶ疑問符をめざとく見つけた兄さんがそう戒める。

目が隠れるくらい長い前髪の子を出したかったんですよね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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