山猫は本当に柔らかい?
沖田は篝の匂いを確認しに庵に来ていた。
だがあと一つ、沖田には確認したい事があった。
【獣の、胸が柔らかかった事と、あと意外にもいい匂いがしました……//】
虎之助の言葉が脳裏にこびりついて離れない。この気持ちが何なのか、自分でもわからない。
ただ自分が知らない篝の感覚を、他人が知っているのが嫌だった。
「本当に柔らかいのか確かめさせて」
「さっきから注文が多いな。柔らかいか確かめさせてっなんだ?なんでもいいが早くしてくれ。じっとしてるのは性に合わねえ」
これも落ち着け沖田!何しようとしてんの?という永倉とおとめの声が聞こえてきそうなので一応ツッコミを入れときます。
ふに……
「え……」
(柔らかい。確かに柔らかい。僕の指が沈んでしまいそうなほど)
「…………」
沖田は吸い寄せられるように篝の体を寄せて、篝の胸を自分の顔に擦り付けていた。
側から見たら実に珍妙な光景だろう。もしこの場におとめがいたら大噴火して沖田と篝を引き離したに違いない。
だが本人たちは真剣だ。
「…………」
「…………」
「それで?確認どうのこうのはできたのか?」
「いえ、まだです」
「はぁ〜??お前が速いのは剣の踏み込みだけかよ!早くしてくれよー!」
(柔らかい……これが、獣の。山猫の。篝の……)
不思議だった。
本当は沖田も一刻も早く戦いたいのに。
戦って、試合して、お互いの生死を賭けた一騎打ちがしたいのに。
なぜか今は、離したくなかった。
* * *
「いやそれはもうお互い感覚がちょっとおかしいぞ!!」
酔い潰れて寝ていた永倉が飛び起きた!
「どうしたんですか永倉さん?」
そばでおとめと花札をしていた左之助が驚く。
「なんか総司が虎之助になる夢を見たんだ!!」
「はぁ、それは嫌な夢を見たもんだねぇ……」
心底同情するように言っておとめは桐に鳳凰を出す。
「いやぁぁぁ!またカスばっかりだ!!」
左之助の叫びが屯所中に響いた。
二人には二人にしかわからない世界があるものです。
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