俺を巻き込むんじゃねぇ!
おいおいおいおい!ちょっと待て虎之助!
「おいおいおいおい、ちょっと待て。虎之助!」
「草むらで押し倒されて……胸を押し当てられて……」
「ちょっと待て!ストップストップ!総司!漏れてる漏れてる!殺気が漏れてる。虎之助、どうしちまったんだお前ェ!」
永倉は虎之助の体をガクガクと揺さぶる。
「俺……惚れちゃいました……」
「えっ?!だ、誰に?ひょっとして……」
* * *
「……そこの獣にです……」
そう言って虎之助が指をさした先には、手持ち無沙汰に髪をいじる篝の姿が。
「へぇ……」
その言葉を聞いて、沖田がゆらりと立ち上がる。
その佇まいは、今にも人を斬ってしまいそうで。
「総司!落ち着け!なんでお前ェが怒ってるんだよ!」
「えへへ……人間でも、獣に惚れることってあるんですね。永倉さん……//」
へひ、と言って頬を赤く染めた虎之助を見て永倉が戦慄した。
こいつ、マジだ!
マジで篝に惚れてる!
「俺を巻き込むんじゃねぇぇ!!」
そう言うと、永倉は部屋を転がるようにして出て行った。
* * *
ーーしばらくして書院に来たのは土方だった。
色恋沙汰に巻き込まれたくない永倉が、急遽土方にバトンタッチをしていたのだ。
永倉はバトンタッチの見返りに、土方に上等の酒を約束して自分はさっさと逃げた。
「よくわからないが……とりあえず黒崎豹魔のことについて調べていたんだな」
「はい、そうです。土方さん」
いくらか冷静さを取り戻した沖田が、当たり前のように篝の隣に座る。
それに気付いた篝も、これまた当たり前のように聞く。
「なんだよ。髪梳いてくれんのか?」
「…………」
沖田は先程の虎之助の言葉を思い出してイライラしていた。自分でもなぜイラつくのかわからない。
わからないまま、とりあえず篝の髪を櫛で梳き始めた。
「……お前ェらは何で俺を呼んだんだ?」
結局、黒崎豹魔のことは浪人の会話で少なからず悪いイメージはないということがわかったが、弟の虎之助は当分の間、柔らかい獣の夢の世界から帰って来れなくなったという。
虎之助さっきまで獣嫌いじゃなかったっけ?汗
最後まで読んで頂きありがとうございました。




