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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十八章 獣は所詮獣

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俺を巻き込むんじゃねぇ!

おいおいおいおい!ちょっと待て虎之助!

「おいおいおいおい、ちょっと待て。虎之助!」


「草むらで押し倒されて……胸を押し当てられて……」


「ちょっと待て!ストップストップ!総司!漏れてる漏れてる!殺気が漏れてる。虎之助、どうしちまったんだお前ェ!」


 永倉は虎之助の体をガクガクと揺さぶる。


「俺……惚れちゃいました……」


「えっ?!だ、誰に?ひょっとして……」


 * * *


「……そこの獣にです……」


 そう言って虎之助が指をさした先には、手持ち無沙汰に髪をいじる篝の姿が。


「へぇ……」


 その言葉を聞いて、沖田がゆらりと立ち上がる。

 

 その佇まいは、今にも人を斬ってしまいそうで。


「総司!落ち着け!なんでお前ェが怒ってるんだよ!」


「えへへ……人間でも、獣に惚れることってあるんですね。永倉さん……//」


 へひ、と言って頬を赤く染めた虎之助を見て永倉が戦慄した。


 こいつ、マジだ!


 マジで篝に惚れてる!


「俺を巻き込むんじゃねぇぇ!!」


 そう言うと、永倉は部屋を転がるようにして出て行った。


 * * *


 ーーしばらくして書院に来たのは土方だった。


 色恋沙汰に巻き込まれたくない永倉が、急遽土方にバトンタッチをしていたのだ。


 永倉はバトンタッチの見返りに、土方に上等の酒を約束して自分はさっさと逃げた。


「よくわからないが……とりあえず黒崎豹魔のことについて調べていたんだな」


「はい、そうです。土方さん」


 いくらか冷静さを取り戻した沖田が、当たり前のように篝の隣に座る。


 それに気付いた篝も、これまた当たり前のように聞く。


「なんだよ。髪梳いてくれんのか?」


「…………」


 沖田は先程の虎之助の言葉を思い出してイライラしていた。自分でもなぜイラつくのかわからない。


 わからないまま、とりあえず篝の髪を櫛で梳き始めた。


「……お前ェらは何で俺を呼んだんだ?」


 結局、黒崎豹魔のことは浪人の会話で少なからず悪いイメージはないということがわかったが、弟の虎之助は当分の間、柔らかい獣の夢の世界から帰って来れなくなったという。

虎之助さっきまで獣嫌いじゃなかったっけ?汗


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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