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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十八章 獣は所詮獣

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獣と人間の狭間で。

場所は変わってここは虎之助の兄、黒崎豹魔が潜伏していると噂の廃寺にて。


※あの後一日寝たら篝はピンピンしてました。by沖田

 黒崎豹魔が潜伏していると思われる廃寺にてーー


「壬生詮議組」または「適当組」のメンバーが召集された。


 まずは俺、永倉新八。

 

 この組の言い出しっぺの斉藤は「おときをならず者の奴らに見せるわけにはいかん」とかいう謎の理由で今回は欠席。

 

 てかおときさんは黒谷にいればいいんじゃないのか?


 あとは豹魔の弟の虎之助と、総司と、何故か篝。


「お前は何故来たんだ?」


「用心棒だ。お前ら『壬生狼』と、そこのチビトラの」


 俺が聞くと、篝がふざけて言う。


 チビトラ?虎之助の事か?


 ふと虎之助の方を見ると、何かに耐えるように震えていた。


「……やはり獣は獣。人の気持ちなんて考えない。あなたも兄と同じ獣だ」


 虎之助の声が低く、冷たく響く。


 その言葉を受けて、篝は仕方無さそうに肩をすくめた。


「……そうかもな。私は山育ちが長かったから、人間の気持ちはわからねぇ……」


「……いや、そう決めつけるのは早いです」


 総司が篝の言葉に被せるように口を開く。


「篝は剣豪のくせに僕に背後を預け、髪の毛を梳かせました。野生の獣は、そんな事はしません。後ろに立ったら最後、問答無用で襲うはずです」


「へぇ!意外だな!お前らそんな事し合ってるのか?」


 俺がそう言うと、篝がこちらをキッと睨む。


「…………」


 篝はやがて、その艶々した黒髪をひと撫でする。


「……本当は……私は、自分が何者か知りたくてここに来たんだ……果たして私は獣なのか、人なのか」


 こんな事、以前の私なら思いもしなかった。


 でもあのチビが……

 黒谷の連中が。

 あんまりにも純粋に私の懐に入り込むから。


『かがりお姉様!』


『どうしてもかがりお姉様と仲良くなりたかったんです!』


 まだこの気持ちが何なのかはよくわからない。

 

 でもーー

 

 私の前をチョロチョロして、私の後ろに隠れて、私を頼るあのチビの。


「力になりたいと思ってる……」


「いや立派な事じゃねえか!なかなか自分から自分を知りたいなんておもわねぇぜ。なぁ総司!お前は剣と戦う事しか頭にねぇもんな!」


「永倉さんは酒、酒、酒ですけどね」


「はっはっは!ちげえねぇ!」


篝も自分は獣なのか人なのかわからなくて葛藤しているようです。

虎之助はずっと篝を敵視してるみたいだけど……


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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