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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十八章 獣は所詮獣

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なんなんですか、あなたは。

 ドンッ!!


 鈍い音が響いて、沖田の刀が篝の顔のすぐ横の畳へ突き刺さった。

 切っ先は黒髪を数本掠めただけ。

 篝の喉にも胸にも届いていない。


「…………」


 沖田は無言だった。


 刀を握る手が震えている。

 

 自分でも理解できなかった。

 

 何百人と斬ってきた。


 人を斬ることに迷ったことなどない。


 なのに。


 目の前の山猫一匹が斬れない。


「なんなんですか……」


 掠れた声が漏れる。

 篝はまだ眠っている。

 何も知らず、何も気付かずに。


 沖田は震える手を見つめた。


 刀を握る手。

 人を殺してきた手。

 その手が。


 今だけは言うことを聞いてくれなかった。


「……起きてくださいよ」


 誰も聞いていない部屋でぽつりと呟く。


 それは挑発でもなく。

 怒りでもなく。

 願いにも似た声だった。


「こんなの、つまらないでしょう」


 篝は答えない。 


 ただ規則的な、穏やかな寝息だけが続いていた。


「……クソッ、なんなんですか。山猫のくせに!」


 * * *


「なんなんですかね、この状況……」


 虎之助が荷物を取りに、斉藤が書物を取りに書院に戻った時ーー


「さあ……ただ、二人とも昨夜は穏やかに眠れたのは確かだな……」


 二人の目の前には、布団ですやすやと眠る篝と、その少し離れた先で、柱に背中を預け、刀を抱いて眠る沖田が居たという……


今回は篝が寝てたので斬り合いは無しです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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