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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十八章 獣は所詮獣

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虎之助の過去と篝

今回は少しだけ真面目な話です。何故虎之助は篝に対して冷たい態度をとったのでしょうか。

 壬生屯所・斉藤の書院とは別の離れにてーー


「まぁ飲め。酔わないとお前話さないからな」


 俺は永倉新八。


 篝の脈を測ってから様子がおかしくなった虎之助を、斉藤の書院から引き離したところだ。


「……永倉さんは自分が飲みたいだけでしょう」


「はっはっは!バレたか!」


 そう言いながら、俺は虎之助に酒を注ぐ。虎之助はおとめさんと違い、酒がべらぼうに弱いからな。

 

 舐めるくらいの量でいいか。


「……で、篝には何故あんなことを言ったんだ?」


【野獣は所詮野獣。人と共存なんてできないですから】


 俺がそう言った途端、虎之助の雰囲気が少し強張った。


「……あの時、篝さんの腕を取った時に、兄の腕を思い出したんです。兄貴の腕も、あちこち傷と、あざだらけだった」


 俺はふんふんと聞きながら酒を飲んだ。


「兄貴は毎日のようにあざや傷をつけて、飲んだくれて帰って来た。そのたびに俺が手当てした」


 虎之助の兄の話はさわりだけ聞いてたが、思ったよりも深刻そうだ。


「俺が何度諌めても聞く耳を持たないので、ある日俺は兄に懇願したんです」


 お願いだからもう生傷を付けて帰るのはやめてくれと。


 兄貴が心配だからと。


 そう泣きながら頼んだ。


 兄貴は少し困った顔をして……


「『虎之助、俺はどうやら人間にはなれねえみたいだ』って俺に言ったんです」


 獣は所詮獣。人とは共存できない。


 たとえ山を降りたところで、必ず誰かを傷つける。


 泣かせる。


 わけもなく人を殺す。


 その人にどんな家族がいるか。


 その人にどんな事情があるかも考えないで。


「篝さんには、兄貴のそれと同じ気配を感じたんです。だから……」


「だから?」


「だから嫌いなんです。人斬りなんて……」


 そう言い切った虎之助の瞳には、兄に対する憎悪と、人斬りに対する怒りが見て取れた。

虎之助の兄はそうですが、篝は人間にはなれないんですかね?


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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