厄介なのがもう一人
厄介なのがもう一人とは、おときの事です。笑
ーーこの女。兄貴に雰囲気が似てる。
いや、兄貴よりもっと野生に近い。
「バレちゃった……今日はバレずに師匠の所に来て驚かせようって思ってたのに」
そう言っておときさんはへりゃりと笑った。
「……おとき……」
「……おチビ……おメェ」
「『厄介なのがもう一人追加』っと。虎之助、こっちにも酒を寄越してくれ」
半ば怒ったように、呆れたように俺にそう言うと、とめは覚え帳を放り投げた。
* * *
壬生屯所・斉藤の書院にてーー
「かがりお姉様!どうして師匠の書院に!?」
私は秋月篝。たった今おチビが荷車から飛び出して来て驚いている女だ。
「……おとき。荷車に隠れて来たのか」
「師匠、隠れて来たのにバレちゃいました」
てへへ……と笑うチビの顔を見て、明らかにデカい壬生狼……斉藤の空気が柔らかくなった。
さっきまで張り詰めてたのに。
……このチビ。何モンだ?
「ここにはチビの安全を話し合うために来たんだ。お前はチョロチョロして危なっかしいからな。壬生狼にも狙われてる。街に出るにも先日みたいに護衛をつけなきゃならねえ」
まぁそれは私がするけど。
「そうなんですか?でもどうして私なんか……」
「……おとき、忘れたわけではなかろう?櫛を買いに行った時に、盗人に襲われただろう」
斉藤が優しくチビに話しかける。こいつ本当にさっきまで文机で腕組みしてた奴か?雰囲気が穏やかになりすぎだろ!
「虎之助〜、酒だ酒。早く持って来な」
いつのまにかおとめさんと永倉はチビをほっぽって花札をやり始めた。
キョロキョロ篝が本当に可愛い。それは篝が長らく山にいたからで。人間の気持ちがあまりよくわからないからなのです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




