鈴蘭のようなおとき
斉藤と篝の睨み合いが続き、そこへ沖田が割り込んで、場は混沌とし始めていた。
「おいおいおいおい!街の往来じゃまずいって!!」
永倉が慌てて二人の後を追いかけて行ってしまった。
「篝!おときさんと刀を選んでたんじゃなかったのか!」
二人の言い合う声と、永倉の声が店から遠ざかって行った。
* * *
「……おとき……」
いつのまにか刀屋には斉藤とおとき、二人だけが残った。
「し、師匠……ごめんなさい。あの刀は師匠のために選んだんですけど……また私は余計なことをしてしまったのでしょうか?」
斉藤は先の永倉の言葉を思い出していた。
『おときさんははじめの為に刀を買いに来たんだよ。お前は真剣の書物やら、手合わせしたい人リストをまとめてるだろう』
そのおときの心が嬉しかった。文字の勉強だけでなく、斉藤の好きなものを調べて、知って、理解しようとするその心が嬉しかった。
「おとき、お前は刀など買わなくていい」
「えっ?でも……」
「代わりに身を守るための小刀を買ってやる」
たとえ小刀でも、武具があれば屯所の輩の牽制にもなるかもしれない。
「いいんですか?私、今日は師匠の刀を選びにきたのに……」
「俺があげたいんだ。遠慮するな」
「師匠……」
* * *
結局おときは斉藤のための刀は買わず、白い柄巻、鞘は乳白色に近い白、鈴蘭の彫刻が施されている小刀を買ってもらった。
「師匠、こんなに可愛い小刀もあるんですね!」
「……ああ、これなんかまるでお前みたいだな。おとき」
「えっ?」
と言われて斉藤が指を指したのが、鈴蘭の小刀だった。
『まるでお前みたいだな、おとき』
斉藤にそう言われて迷わず選んだ小刀だった。
(なんだろう、胸がぽかぽかする)
二人はどちらからともなく手を繋いで帰路に着いた。
何か忘れている気がするが、二人の世界には関係ないことだった。笑
* * *
いつのまにか時刻が暮六つ(午後六時ごろ)に差し掛かる頃ーー
「……今度こそ真剣な斬り合いをしましょう。山猫」
「奇遇だなぁ馬鹿犬。私もそろそろ木刀は緩いと思ってたんだ」
「戦いに関しては気が合いますね!」
沖田と篝、二人は街中でまだ夫婦喧嘩を続けていた。と、そこへーー
「総司!!この馬鹿もん!!会議をサボって、街中で抜刀しようとするとは何事か〜〜〜〜!!!!」
全てがめんどくさくなった永倉が近藤に丸投げしたところ、慌てて駆けつけた近藤局長に沖田は拳骨とカミナリを落とされたのである。
すべてが面倒になった永倉笑
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