山猫のくせに生意気
沖田は何故か櫛屋で、篝の髪を梳いてあげていた。
黒猫の毛みたいに艶々で。
意外にも器用な沖田は、篝の黒髪を丁寧にすくとあっという間に紫の髪紐でまとめて、そのままその櫛を髪紐に刺した。
「どうだ?」
そう言って振り向いた篝は、以前よりも美しさが増しているような気がした。
「……なんか、生意気。山猫のくせに」
「ああ?似合わねーってことかよ!」
「そうじゃないです」
けど……
「山猫から野良猫くらいにはなったんじゃないですか?」
「どっちも同じじゃねーか!」
などと店で二人がギャースカやっていると、店主がお会計を持って来た。
「こちらになります」
出された金額を見て篝は猫みたいに全身の毛が逆立ち飛び上がった!
「高けぇ!!私の一か月分の飯代くらいする!!」
こ、こんなちっこいのがこんなにするのか……
街にいる人間はこんなもんをポンと買えるのか?どんだけ金持ちが多いんだよ!
「……篝、いや山猫」
「あ?」
「僕に考えがあります」
* * *
その頃壬生屯所の大部屋ではーー
斉藤の殺気に気圧されて、末端の浪士たちは早々に退却していた。
残ったのは組長クラスの人間、近藤、土方、永倉、山南敬助、藤堂平助、原田左之助の六人と、かろうじて斉藤の殺気に耐えている数人だけだった。
それほどに斉藤の殺気は凄かった。
「これじゃ会議にならねぇじゃねえか!!」
土方がキレた。御所周辺の警備強化には、相応の人数がいるからだ。
「別に夜間巡察や見回りなんかはいつもこのメンバーで回してるからいいんじゃねえか?」
永倉が退屈だと言わんばかりにあくびをする。
「夜間巡察……?」
永倉の言葉にピクリと斉藤のこめかみが動く。
「……もう八つ(午後三時頃)じゃねえか……そんな時にまたおときが危険な場所に行っていたら……」
「落ち着けって!『まだ』八つだ!それにおときさんは黒谷にいるかもしれないだろ」
その瞬間、バシン!という音が部屋中に響いた。
土方が机を叩いた音だった。
「もう会議にならん!!斉藤!御所関係の仕事は全部お前がやれ!」
一連の馬鹿らしいやり取りを見てキレた土方がぷんすかしながら部屋を出て行った。
「ありゃりゃ、もうこりゃ会議にならねぇなぁ」
参った参ったという感じで近藤が頭を抱えた。
斉藤さんは真剣です。笑
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