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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十六章 おときの大冒険

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殺気がダダ漏れの斉藤

篝と沖田のストーカーをしていたおとき。

その頃屯所にいる斉藤は機嫌が悪く、隊士達をびびらせていた。

 おときが呑気に二人のストーカーをしていたその頃、壬生屯所の大部屋ではーー


「なぁ……斉藤さんいつもとなんか違くね?」


「ああ、いつもは落ち着いているのに今日は妙に殺気だっているというか……」


「見ろよあの貧乏ゆすり。ありゃちょっとした地震だぜ?」


 斉藤は苛立っていた。


 今日はおときがいないだけでなく、おときの所在も分からず、おときが今何をしているかわからないからだ。


(今日はおときは一日中黒谷に居ると言っていたのに……姐さんから聞いたらおときはいないと……)


「いやはじめ殺気がダダ漏れで怖いって。どうしたんだよ。お前らしくない」


「……新八。今の俺に話しかけるな。今の俺ならお前でも問答無用で斬ってしまいそうだ」


「何があったんだよ……もしかしておとき……」


 永倉が言いかけた途端に局長が大部屋に入ってくる。


「おう、みんな揃ってるな。さてーー早速今日の議題だが……ん?」


「…………」


 部屋の空気が妙に重い。


「……なんだ?」


 近藤が首を傾げる。


 すると永倉が、ちらっと斉藤を見た。


「いやぁ……今日ははじめが怖くてよ」


「怖い?」


 近藤が斉藤を見る。


 そこには。


 腕を組んだまま、異様な殺気を放つ斉藤一。


「…………」


「はじめ?」


「……局長。今は話しかけないでください」


「お、おう……?だが会議は……」


「……局長、申し訳ないが俺は今会議どころではない」


 斉藤の言葉に、土方が深いため息を吐いた。


「……今日は朝からあの娘がいねぇらしい」


「あの娘?」


「おときです。最近斉藤の書院に通ってる」


 その瞬間、近藤が「あぁ……」という顔をした。


 完全に理解した顔である。


「なるほどなぁ……」


「何が『なるほど』なんですか」


 斉藤の声が低い。


 近藤は苦笑した。


「いや、お前は本当にあのお嬢ちゃんに弱ぇなと思ってな」


「…………」


 斉藤の眉がピクリと動く。


 永倉がニヤニヤしながら口を挟む。


「まぁでも、おときさんなら今頃黒谷でおとめさんにしごかれてるんじゃねぇの?ほら、おときさんは一応侍女だし」


「それならまだいい」


「え?」


「……今回は嫌な予感がする」


 その声色が、本気だった。


 さすがの永倉も笑いを引っ込める。


「……お前がそこまで言うの珍しいな」


「…………」


 斉藤は答えない。


 だが脳裏には、以前おときが屯所に紛れ込んだ時のことが焼き付いていた。


 男所帯に一人で来た小柄なおとき。まるきり純粋で、何も考えずに。ただ斉藤に渡した文を返してもらいに来たおとき。


 それを見る飢えた狼のような浪士達の視線。


 もし自分がいなかったら。


 考えるだけで背筋が冷たくなる。


 すると土方が口を開く。


「とにかく会議をするぞ、まずは御所周辺の警備強化にーー」


 その時だった。


斉藤は色んなことが原因でおときが心配なんですね。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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