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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十五章 山猫は心を開くもの?

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自覚がないもの同士

結局篝は一番上等な髪紐を買ってもらった。

上機嫌で帰路に着くはずだったが……

 でも珍しい……沖田が自主的に誰かのために何かを選んで、誰かのために何かを買うだなんて……


「……借りじゃない。僕がそうしたいだけ」


 沖田は自分でもよくわからないといった感じで首の後ろをかく。


「……ふぅん?じゃあ好きにしなよ。馬鹿犬が私のために買った髪紐、着けてやろうじゃないか」


「別に山猫のために買ったわけじゃない!結果的にそうなっただけだ!!」


(そう、僕はあの時ーーおとめさんが篝の黒髪に触れた時……僕が触りたいだなんて、そんなこと……)


「……思ってないけどな!」


「なんだよいきなり!」


 二人が再び店内でギャースカ始めたので結局その髪紐は私が払うことになった。


 全く、斉藤といい沖田といい、自覚ないもん同士の色恋沙汰っつうもんは……


 * * *


「大体山猫は髪紐よりもまず先にすることがあるんじゃないですか?」


「おとめさんがわざわざ市井(しせい)に誘ってくれたんだよ!断れるか馬鹿犬!」


「本当髪以外はいいところないですね!」


「んだとぉ?また殺し合いしてぇのか?!負け犬!」


「いいですよ……受けて立ちます。死んでもいいならね!」


 この二人、いつまでこの言い合い続けるつもりなのかねぇ……


 結局黒谷に着くまで二人の口喧嘩?夫婦喧嘩?は続いた。


* * *


 翌日ーー壬生屯所の近藤の部屋にて。


「請求書 髪紐代として」


 と書かれた額に近藤は悲鳴に近い叫びをあげたのである。

近藤局長……笑


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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