自覚がないもの同士
結局篝は一番上等な髪紐を買ってもらった。
上機嫌で帰路に着くはずだったが……
でも珍しい……沖田が自主的に誰かのために何かを選んで、誰かのために何かを買うだなんて……
「……借りじゃない。僕がそうしたいだけ」
沖田は自分でもよくわからないといった感じで首の後ろをかく。
「……ふぅん?じゃあ好きにしなよ。馬鹿犬が私のために買った髪紐、着けてやろうじゃないか」
「別に山猫のために買ったわけじゃない!結果的にそうなっただけだ!!」
(そう、僕はあの時ーーおとめさんが篝の黒髪に触れた時……僕が触りたいだなんて、そんなこと……)
「……思ってないけどな!」
「なんだよいきなり!」
二人が再び店内でギャースカ始めたので結局その髪紐は私が払うことになった。
全く、斉藤といい沖田といい、自覚ないもん同士の色恋沙汰っつうもんは……
* * *
「大体山猫は髪紐よりもまず先にすることがあるんじゃないですか?」
「おとめさんがわざわざ市井に誘ってくれたんだよ!断れるか馬鹿犬!」
「本当髪以外はいいところないですね!」
「んだとぉ?また殺し合いしてぇのか?!負け犬!」
「いいですよ……受けて立ちます。死んでもいいならね!」
この二人、いつまでこの言い合い続けるつもりなのかねぇ……
結局黒谷に着くまで二人の口喧嘩?夫婦喧嘩?は続いた。
* * *
翌日ーー壬生屯所の近藤の部屋にて。
「請求書 髪紐代として」
と書かれた額に近藤は悲鳴に近い叫びをあげたのである。
近藤局長……笑
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