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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十四章 山から降りた山猫

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獣同士の喰らい合い

突然始まった沖田と篝の試合。

その様子は、まるで獣。


※改行多めです。

「ではーー始め!」


 容保の合図が終わるか終わらないかのうちに、沖田が素早く踏み込む。


 速い。


 その場にいた誰もが息を呑んだ。


 まるで地を滑るような踏み込み。


 普通の剣士なら、木刀を構え直す暇すらない。


 ギィン!!


 激しい音が演武場に響く。


「……っ!」


 だが篝は、その一撃を真正面から受け止めていた。


 木刀同士がぶつかり、火花が散る。


「へぇ……」


 沖田が笑う。


 嬉しそうに。


 獲物を見つけた獣みたいに。


「へぇ……今のを止めるんですね」


「壬生狼ってのは、口ほどでもねぇな」


 篝の口元も獰猛に歪む。


 次の瞬間ーー


 沖田の木刀が暴風のように襲いかかった。


 右。

 左。

 胴。

 喉。

 肩。


 常人なら目で追うことすらできない連撃。


 ギィン!ギィン!ギィン!!


 篝はその全てを受け流していく。


 裾を翻しながら。


 まるで山を駆ける獣のように軽やかに。


「すげぇ……」


 永倉が思わず呟いた。


「総司のあの連撃を全部捌いている……」


 斉藤も息を呑んで感心する。


 観客席は静まり返っていた。


 誰もが理解していた。


 これはただの試合じゃない。


『剣豪同士の喰らい合い』だ。


「……沖田さん」


 敏姫が不安そうに呟く。


 沖田の顔がーー笑っていた。


 いつもの敏姫にだけ見せる少し照れたような笑顔じゃない。


 人を斬る時の顔。


「楽しいなぁ!!」


 沖田がさらに踏み込む。


 木刀とは思えない殺気。


 ビリビリと空気が震える。


 だがーー篝は一歩も引かなかった。


「……馬鹿犬が」


「なに?」


 その瞬間。


 篝の姿が消えた。


「ーーっ!?」


 沖田の目が見開く。


 篝はいつのまにか横にいたーー


 ギィン!!!


 篝の木刀が沖田の木刀を横から強引に弾き飛ばす。


「しまっーー」


 その一瞬の隙だった。


 篝は沖田の懐へ深く踏み込む。


 近い。


 近すぎる。


 剣を振るには距離がない。


 だが篝は迷わなかった。


 沖田の茶色の瞳と、篝の黒い瞳が交差するその一寸ーー


篝は見逃さなかった。


「……馬鹿犬が」かっこいいですね。


両者一歩も譲らない試合ですが、どちらが勝つのでしょうか。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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