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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十四章 山から降りた山猫

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黒谷での刀くらべ

ある日の斉藤の書院にて。今日も斉藤はおときに文字を教えていたがーー

 壬生屯所 斉藤の書院にてーー


「できました師匠!!」


「……見せてみろ」


 今日も斉藤はときに文の書き方を教えていた。


『今日はかたつむりを見ました。めめめめしていてふしぎでした』


 斉藤は思わず吹き出してしまった。

 字は最初の頃からずいぶん上達したが、まだまだ勘違いが多い。


「ここは『めめめめ』ではなくて『ぬめぬめ』だ」


「あっ、そっか!ぬめぬめしてるなぁって思っていたんです」


「……そうだ。文字にすると難しいな」


「『ぬめぬめ、ぬめぬめ』」


 ときが声に出して一生懸命訂正している。


 その髪には斉藤が贈った真珠の櫛が飾られていた。


「……おとき、よく似合うな」


「えっ?」


「その櫛、付けてくれたんだな……」


「はっ//はい!せっかく師匠が贈ってくれたものだし……それに……」


「……それに?」


 斉藤はときの顎に触れ、その顔を自分の方に寄せる。


「そっ、それに……似合うと思うって師匠が言ってくれたから……//」


 二人の顔がどちらかというでもなく近寄り、口付けをするのかという距離に近づいた時ーー


「なあなあ!今度黒谷で容保公と敏姫様の御前で刀比べがあるらしいぞ!」


 空気を読まない永倉が書院の襖を豪快に開けた!


「…………どうした、はじめ?なんでそんな所に?」


 永倉の視線の先には書院の端っこでこちらに背中を向けながらおときの文【を読んでいるふりをする】斉藤と、何故か文机の下に隠れようとするおときの姿。


「……新八、前にも言ったがまずは襖越しに話しかけるものだろう!//」


「俺らの仲でそんな煩わしい事してられるか!てかこのやりとり前にもした事があ……」


 言いかけた永倉は、文机からそろそろと出てきたときの真っ赤な顔を見て全てを悟った。


「なんだ、お取り込み中だったか!これはすまん。はっはっは!」


「…………//」

この二人は書いていてとても楽しい。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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