おとめに惚れた理由
おとめは近藤局長が自分のために選んでくれたという着物を試着することにする。
「……それじゃあ、試着だけでもしようかね」
「いっ、いいんですか!?//」
「何?私に着てもらいたかったんじゃなかったのかい?」
「そりゃもちろん!!」
近藤さんの顔がぱっと明るくなる。
ったく、私の一言ひと言で百面相して面白いったら……
「……近藤先生はおとめさんが本当に好きなんですね。どこがいいんです?」
私が試着室に入った時、沖田と近藤さんの会話が聞こえてきた。
私もそう思うよ。一体私のどこに惚れたんだ??
「そりゃお前……//べらぼうに美人で優しいところだよ」
「優しい?おとめさんが?優しいっていうのは敏姫様みたいな人のことを言うんじゃないですか?」
沖田は敏姫様を思い浮かべて、その可愛いらしさと天真爛漫な強さと優しさを思い出したのか、思わず顔が綻んだ。
「……総司。確かに敏姫様はお優しいよ。でもお前にはまだわからんだろうが、おとめさんには……包容力があるんだ」
「包容力?」
「……俺の不器用なところも、本気になった女子にはどうしていいかわからないところも、最終的には全部受け入れてくれる力の事!おとめさんみたいな人は、俺が今まで会った事のない女子なんだよ//」
「……近藤先生。ずいぶんと饒舌ですね。おとめさんの前では一言も話せないのに」
「ぐっ……!!」
何をやってんだか……
「さぁ、殿方の前へ出てください。非常に美しく仕上がりましたよ」
着付けを手伝ってくれた店の女性がうっとりとした感じで目を見張る。
そんなに目を見張るほどかね??
「ありがとう」
私の声に振り向いた近藤さんの顔。まさにあんぐりと言った感じで口を開けて固まっている。
沖田はというと、
「へぇ……着物でずいぶんと変わるものなんですね」
と感心し。
永倉は
「ええ!?こ、これがおとめさん!?知らない人みたいだ!おとめさんも女子だったんだなぁ!」
どういう意味だ。今まで私をなんだと思ってたんだよ!
「……どうですか?近藤さん」
私はわざと遊女みたいに体を捻らせて近藤さんの反応を伺う。
葡萄色の絹が灯りを受けて艶めき、藤の柄が歩くたび静かに揺れる。
「…………」
近藤さんは何も答えない。
はぁ、近藤さんのために着替えたってのに。仕方ないねぇ。
私がどうなのさ、と近藤さんに迫って聞きそうになった時だ。
「……まるで天女のようだ……」
えっ??
「おとめさん……」
「はい」
「美しいという言葉では言い表せない……」
ぐい、と近藤さんの手に引き寄せられる。
「ぁ……」
「おとめ……」
「……っ!!」
不器用な男が、私の手を握ったまま微動だにしない。その無骨な手に、熱に、微かな独占欲を感じて。
ーー私の心はほのかに揺れたのだった。
局長の恋はちょっとでも進展したのかなぁ?
最後まで読んで頂きありがとうございました。




