近藤先生しっかりして下さい
青い丸印を頼りに斉藤たちは新撰組がお世話になっている呉服屋に来ていた。
壬生屯所のお世話になっている呉服屋さんにてーー
「近藤さん、またいつものですかい?」
「……はい。すまんが見せてくれないか?」
「はいはい、お安い御用で……」
私たちは新撰組が一番お世話になっている呉服屋を訪ねていた。
いや、正確には覗いていた。
本当にいるじゃねえか!ときの推理って当たるもんなんだなぁ。
私がそう感心してときの方を振り向くと、すでに斉藤がときの頭を撫でて落雁をやっているところだった。
……あの二人、完全に二人の世界だけど。
これで付き合ってないってマジ?
私は永倉と沖田に視線を移した。
何故か永倉が「このままじゃ負けるぅ!!」
と叫んでいた。
きっと賭けのことだろう。
「お待たせしました」
そう言って呉服屋が出してきたのは、深い葡萄色の着物に、裾に流れるような藤の柄が刺繍してある、私が着たことのないような色と柄の着物だった。
「まぁ素敵!!お姉様に絶対似合うわ!お姉様って普段は深緑とか無難な色の着物ばっかり着てるけど、葡萄色は着たことがないし、何より色気がすご……むぐっ」
ときが思ったより大きな声をあげたので、斉藤は慌ててときの口を塞ぎどこかに逃げて行った。
「あっ!おとめさん!//」
私たちが呉服屋を覗いているのが近藤さんにバレちまった。まあ仕方ない。ときがいてもいなくても、いずれバレることはわかっていたからな。
「……何、また私のための贈り物を選んでんの?」
私はズカズカと呉服屋に入り、近藤さんをわざと揶揄うように聞いた。
「あっ……近藤さんの。お話は伺っています。かなりの別嬪さんで、気の強い女性だとか……」
そんなこと言ってたのかこの人……
近藤さんは私が店に入ってきてからカチコチに固まってしまって一言も話さなくなっちまった。
「仕方ない、沖田!」
「……近藤先生、しっかりしてください」
「そ、総司!!どうしてここに!?」
沖田の一言でカチッとスイッチが入ったように近藤さんは正気に戻った。
「……実は……そうなんです//おとめさんに似合うような着物を贈ってあげたくて……」
近藤さんは照れを隠すように首の後ろをかいた。よく見たら顔も耳も真っ赤だ。
「…………」
私は呉服屋が出してきた葡萄色の着物を眺めた。見ればわかる。これは正絹ーーかなり上等の代物だ。
【おとめさんに似合うような着物を贈ってあげたくて】
はぁ……仕方がないねぇ……
「会津の金は使っていないだろうね?」
「そりゃもちろん!好いた女子に借りた金じゃ格好がつかねぇです!!」
好いた女子……
なんか体中が痒くなるような響きだ。
ふと近藤さんの顔をみると、真っ赤な顔をしながらも、その目は真剣で。
熱がこもっていて。
ああ、困ったねぇ。
沖田の「近藤先生」でスイッチが入る局長好きです。笑
最後まで読んで頂きありがとうございました。




