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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十三章 壬生詮議組?

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まいにち、あなたをおもっています

盗人が斉藤が新撰組だと気付いた時にはもう遅く、盗人は死を覚悟した。

「し、新撰組……!!」


 その言葉を聞いた瞬間、周囲の空気がざわめいた。


 盗人は斉藤が新撰組だとわかると、途端に土下座して命乞いをし始めた。


「ゆ、ゆゆゆるしてくれぇ!!ほんの出来心だったんだ!」


 斉藤の底冷えするような冷たい声が、盗人の上に落ちる。


 その声には何の感情も読み取れない。


「……いや、許さん。お前はよりによって俺の大事なものを傷つけようとした」


 盗人の顔が真っ青になり、無意識に歯がガチガチと鳴った。


「……俺の大事な者、おときに触れようとした。その罪、断じて許さん!」


 チャキッと盗人に刃を向け、問答無用で斬ろうとした時ーー


「斉藤さん……」


 小さなぬくもりが、斉藤の背中を抱きしめてきた。


「私は大丈夫です」


 涼やかな声が、初夏の風のように透き通る。


「『まいにち、あなたをおもっています』」


「…………っ……」


 その言葉に、すっかり毒気を抜かれた斉藤は刀を納め、代わりに腰に回された小さな手を、確かめるように握ったのである。


 * * *


 数日後のとある日ーー黒谷のお屋敷にて。


「へえ!そんなことがあったのかい!どおりでときは毎日浮かれて屯所に通ってるわけだ!」


「しかも毎回はじめが迎えに来るしな」


 永倉ととめは昼間から酒を飲み、先日の「真珠の櫛事件」を酒の肴に盛り上がっていた。


「あー若いって羨ましいねえ。で?あの二人はいい仲になったのかい?」


 ときが若いとは言っても、とめも23歳と大概若かった。


「いや、それがまだ付き合うには至ってないらしい」


 永倉の言葉を聞いてとめは思わず酒を吹き出しそうになった。


「なんだいそれは!!」


「不思議な二人だよなぁ〜」


この二人まだ付き合ってないんですよ。

斉藤に至っては「俺の大事なもの」発言してるのにな。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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