思わぬところから
黒谷のお屋敷にて、熊二人に囲まれたときは泣きそうだった。怒られるかと思ったが意外にも……
その日の夜ーー黒谷の客間にて。
「はっはっは、特に大事なくて良かったじゃないか!」
永倉が何故か一人で酒盛りをし始めていた。
「……ああ、一時は殿への怪文書か、浪士達の悪戯かと思ったが……まさか姐さんの後輩の仕業だったとは」
「ご、ごめんなさい。私、敏姫様みたいになりたくて……こんな贈り物されたら幸せだろうなとか、こんな場所に行けたら良いな、とか考え出したら止まらなくて……」
斉藤は小さくなって謝るときの顔をじっと見る。
怒られる?!とときが身構えた。
「……文の書き方を教えてやる。あんな誤字脱字だらけでは敏姫様どころかそこらの町娘にもなれん」
えっ??
部屋が沈黙に包まれる。
なんて言った?斉藤が、ときに文の書き方を教えるって!?
ふと斉藤の顔を見ると、その顔は真剣で。
いや、いつもこの男は真剣なんだけど。
なんか。熱?
視線に熱がこもっている?
「さ、斉藤さん……良いんですか?あんな怪文書を送ったのは私なのに……」
「……ああ」
まぁそれはときのせいじゃないけど。
「ははぁ??」
何かに気付いたような永倉がニヤニヤしながら二人を見る。
「おとめさん、どうやら俺たちは邪魔みたいですぜ」
「?ん?何故だい永倉?」
「いいからいいから!ここは二人っきりにさせときましょ!」
「????」
やけに上機嫌な永倉に半ば引っ張られる形で、私はその場をあとにしたのだ。
まさか本当に斉藤に春が?来たのかなぁ……
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