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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十三章 壬生詮議組?

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怪文書の犯人

斉藤たちやとめが怪文書の出どころを探していたところ、犯人が見つかった。その犯人は意外というか、ある意味納得いく人物で……

 会津藩 黒谷のお屋敷・侍女の部屋にてーー


「どこに行ったんだろう〜!」


 自分の着物の裾やら、敏姫への贈り物やらをひっくり返す勢いで、ものを探す一人の侍女がいた。


「とき!何やってんだい!」


 そう言ってときより年上の侍女が見た侍女部屋は、ひどい有様だった。

 敏姫様への贈り物の入った箱は無惨にもひっくり返り、着物も、かんざしも、部屋のあっちこっちに散乱している。


「贈り物を改めるどころか荒らしてどうすんだい!しばらくときはこの部屋に入室禁止!罰として一か月廊下の雑巾掛けだ!」


 そう怒られて、ときは侍女部屋を放り出されてしまった。


「侍女様違うんです!ときは探しものをしてただけなんです!」


 べそをかきながら訴えるも、侍女からの返事はなかった。


(どうしよう〜私の馬鹿馬鹿!よりによって私の妄想がたっぷり書かれた文をなくすなんて……)


 ときががっくりと肩を落として歩いていると、前方からとめが歩いて来た。


「お姉様!!」


「ん?」


 * * *


「なるほど、あの恋文?というか怪文書はときが書いたのか。だったら納得だねぇ」


 淡い桃色、花柄の便箋に、妙に夢みがちな文章、漢字の間違い、おまけに真珠の櫛とかいう一介の侍女では絶対に買えない自分の願望丸出し。


「えっ!お姉様なんで知ってるんですか?ひょっとして見た!?」


「何故か屯所で見つかったらしいよ。斉藤さんの部屋で。書状の中に混じってたって」


「ああああああ!!」


(よりによって壬生の屯所でェェェェ!!あの恥ずかしい文章を!!)


「なんだ、自分でも恥ずかしい文章ってわかってたのかい」


 ときは半べそをかきながら事情を話した。


「……お美しい敏姫様になりきって書いてみたんです。よ、よりによって屯所で見つかるなんて……ぐすっ」


 ときのことだからどうせそんなことだと思った。


「きっと侍女が恋文だと勘違いしてその辺の文と一緒にしちゃったんだよ。なに、気に病むことはないさ。斉藤はあんまり深く考えてないから」


 その時、熊二人が黒谷を訪ねて来た。


「おとめさん!ちょうどいいところに。調べたら浪士達の悪戯(いたずら)じゃなかったっすよ!」


 永倉が元気よくこちらに手を振ってきた。


 私は慌てて逃げようとするときの首根っこを掴んだ。


「ああ、こっちもたった今犯人が見つかったところだよ」


 ときの顔は耳まで真っ赤になっており、まさに「穴があったら入りたい」という感じだった。


ときはお気に入りのキャラクターです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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