屯所で恐れられる女
とめは一人で壬生の屯所の道場に来ていた。さすがの姐さんでも緊張したが、意外にも……
壬生屯所の道場にて。
ここはいくら私が屯所に慣れて来たと言っても身構える場所だ。
血気盛んな浪士達がたくさん鍛えてる場所だもんな。
「あっ、近藤局長の……」
「あの方が噂の局長を泣かせたっていう……」
「別嬪さんなのにすごい怪力の持ち主らしいぞ」
あれ?ここでも私の噂が捻じ曲がって伝わってるらしいね。
おかげで浪士達が勝手に避けてくれるからいいけどさ……
「沖田〜!邪魔するよ!」
私は沖田のいる道場の襖を開けた。
襖を開けると、途端に沖田の殺気がこちらへ向かってきて、霧散したのがわかった。
(まるで獣みたいな殺気だね……)
「……おとめさん、何故ここに?」
先程までそこにピンと張り詰めたような空気が消えて、沖田のまだあどけない顔が覗く。
「永倉から沖田ならここにいる、て聞いてさ」
「……永倉さんから?でも道場は他にもたくさんあるのに」
「はっはっは、私は一度沖田の殺気を間接的に浴びたんだ。なんとなくわかるよ」
「……あんた、相当変わってますね……殺気のする方を辿るなんて」
稽古の手を止め、沖田がそんなにかいてない汗を拭いながら練習用の木刀をしまう。
「……なんの用ですか?」
私は先程永倉に説明したことと同じ事を話した。
「壬生詮議組?何それ僕は絶対参加しませんよ、面倒くさい」
想像していた通りの返事が返ってきて私は思わず吹き出しそうになった。
「ははは!沖田はそう言うと思ったよ!私もせめて『熊二人と問題児』の方がいいと思うけどね。まあ気楽に考えといてよ。じゃあね」
「…………」
私はそれだけ言って沖田の答えを聞かずに道場の襖を閉めた。
「で、出てきたぞ」
「あの沖田さんの殺気が充満している道場に入るなんて……何者なんだ?」
「いい女だなぁ//」
浪士達は道を開けながらまた私の噂をしていた。
最後の言葉は、悪くないね。
私もとめの言うように、熊二人と問題児とかでいいと思います。
「壬生詮議組」なんて、いかにも斉藤が付けそうな感じで面白いですよね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




