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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十三章 壬生詮議組?

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壬生詮議組?

ある日の黒谷にて。とめは護衛も付けずに屯所に行こうとしていた。そこへとめにとって妹のような存在、ときがやってきて……

 会津藩 黒谷のお屋敷の侍女部屋にてーー


「お姉様また護衛もつけずにあんな危険区域に行くの?ときは心配です」


 私はとめ。前回沖田と永倉の黒崎への印象を書き記した覚え帳を斉藤に渡すために壬生の屯所に行こうと思ってるんだけどーー


「お姉様は最近あの野獣の巣窟に行きすぎなんです!今までは大丈夫でしたけど、また行くんですか?」


 私のことを姉みたいに慕ってくれる侍女・ときに止められた。


「はっはっは!屯所を野獣の巣窟呼ばわりとは、新撰組の連中は一般人を怖がらせるのがうまいねぇ!」


「笑い事じゃないです。ときはお姉様が心配で言ってるんです」


 ときが瞳をうるうるさせている。全く虎之助もときも気が弱いねぇ。


「大丈夫だよとき、それに最近は屯所でも私はちょっとした有名人なんだ」


 近藤さんに迫ったあの日から、何故か新撰組の連中は私の顔を覚えていて。


「あれが近藤さんの……」


「なかなかの別嬪さんじゃないか」


「気をつけろ、あの方はあの局長を泣かせる程の投げ技の使い手なんだ。気を抜いてるとあっという間に懐に入られるぞ!」


「永倉さんもやられたらしいな!」


 などとありもしない噂が勝手に立てられて、今や恐れ半分、興味半分といった感じで私は顔を知られてる。


「そうなんですか?でも……そうだ!私がお姉様の護衛になります!」


 ときが突拍子もないことを言って来た。さっきまで屯所のことを「野獣の巣窟」って呼んでたくせに何を言ってんだ。


「あんたは絶対ダメ!それこそ野獣に食われちまうよ!あんたは黒谷(ここ)に居るんだ。いいね!」


「うう……お姉様。必ず、必ず帰ってきてくださいね」


 そんな大げさな。


 永遠の別れでもなしに……でも仕方ない。ときは夢みがちなところがあるからなぁ。


 この間も敏姫様の着物が呉服屋から届いた時ーー


「まるで星空をそのままうつしたような色と柄だわ。そして容保様は彦星で、敏姫様は織姫なの……」


 そしてそのまま自分の胸の前で手を組んで、目を輝かせて、改めの手を止めて周囲をイラつかせていたっけ……


「ぶふふ、あの時ときの隣に座った侍女の顔と言ったら……」


 本当に面白い子だよ。


 ふと振り向くと、ときが私の姿が見えなくなるまでずっと手を振っていた。


……その分危うい子だけどね。


新たなキャラクター・ときが出てきました。

ときは、だいぶ夢みがちな性格です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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