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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十二章 虎之助の兄

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二人の平和を守るため

とめは沖田に話を聞きに来たが、容保公と敏姫の夫婦劇場を見せられてその場を離れた。そこへ沖田がやってきて……

「……とめさん、何か僕に用事ですか?」


「うわぁびっくりしたァ!」


 姫様の部屋から離れて、私は中庭の東屋に来ていた。

 また落ち着いたら沖田のところに行こうと思っていたのに。


「沖田!姫様の護衛はいいのかい?」


「……はじめさんが来てくれたから」


 そっか、斉藤が……


 そういえば斉藤は容保様の護衛も任されていたっけ。初代熊っつって、最初に会った時はずいぶん驚いたもんだ。


「その斉藤から頼まれてね。三人は廃寺に行ったんだろ?捜査のために」


「ええ……」


「感想を聞かせてくれよ。黒崎の印象はどうだった?」


 沖田は東屋の椅子に腰掛けると、池の鯉を見ながらゆっくり話し出した。


「……浪人の話でしか人物像は分かりませんが、酒豪であることは間違いないです。あと剣の腕も確からしいです」


 ふむふむ……


『酒豪、剣の腕は確か』


「あと……これは大したことないと思いますけど」


「なんだい?」


「声が大きく、その咆哮はまるで獣のようで、寺のスズメがみんないなくなったそうです」


「なんだそりゃ、一番怖いじゃないか」


 もしそいつが黒谷に現れて、獣みたいな咆哮をあげたら、戦だと勘違いされるんじゃないか?


『酒豪。剣の腕は確か。獣のような咆哮』


 っと……。


 こんなもんでいいかな。斉藤はこんな簡単なことも聞き出せなかったのか。


 全く口下手にも程があるねぇ。


 でもさっきの切羽詰まった斉藤の様子。

 黒崎という謎の剣豪。


 黒崎が純粋な悪人でないにしろ、警戒は怠らないに越したことはないね。


「敏……」


「殿……」


「当たり前」を取り戻している最中の、あのお二人を守るためにも……


とめも新撰組のメンバーも、主君容保公への忠義は本物です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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