二人の平和を守るため
とめは沖田に話を聞きに来たが、容保公と敏姫の夫婦劇場を見せられてその場を離れた。そこへ沖田がやってきて……
「……とめさん、何か僕に用事ですか?」
「うわぁびっくりしたァ!」
姫様の部屋から離れて、私は中庭の東屋に来ていた。
また落ち着いたら沖田のところに行こうと思っていたのに。
「沖田!姫様の護衛はいいのかい?」
「……はじめさんが来てくれたから」
そっか、斉藤が……
そういえば斉藤は容保様の護衛も任されていたっけ。初代熊っつって、最初に会った時はずいぶん驚いたもんだ。
「その斉藤から頼まれてね。三人は廃寺に行ったんだろ?捜査のために」
「ええ……」
「感想を聞かせてくれよ。黒崎の印象はどうだった?」
沖田は東屋の椅子に腰掛けると、池の鯉を見ながらゆっくり話し出した。
「……浪人の話でしか人物像は分かりませんが、酒豪であることは間違いないです。あと剣の腕も確からしいです」
ふむふむ……
『酒豪、剣の腕は確か』
「あと……これは大したことないと思いますけど」
「なんだい?」
「声が大きく、その咆哮はまるで獣のようで、寺のスズメがみんないなくなったそうです」
「なんだそりゃ、一番怖いじゃないか」
もしそいつが黒谷に現れて、獣みたいな咆哮をあげたら、戦だと勘違いされるんじゃないか?
『酒豪。剣の腕は確か。獣のような咆哮』
っと……。
こんなもんでいいかな。斉藤はこんな簡単なことも聞き出せなかったのか。
全く口下手にも程があるねぇ。
でもさっきの切羽詰まった斉藤の様子。
黒崎という謎の剣豪。
黒崎が純粋な悪人でないにしろ、警戒は怠らないに越したことはないね。
「敏……」
「殿……」
「当たり前」を取り戻している最中の、あのお二人を守るためにも……
とめも新撰組のメンバーも、主君容保公への忠義は本物です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




