全部持っていく土方
やっとの思いでとめにかんざしを付けることができた近藤は、振り向いたとめの美しさに声を発することができなかった。
剣の試合をする時よりも緊張する。近藤は震える手を押さえながらやっとの思いでとめにかんざしをつけることができた。
「どうだい?」
近藤はしばらく開いた口が塞がらないといった様子で、金魚みたいに口をぱくぱくさせる。
「ぉう……//」
「?さっきからなんだい、かんざしひとつで百面相して。言葉が出ない程似合わないかい?」
そう言うととめはまたもや近藤にずいっと迫る。
(ああ……違うんですおとめさん!!言葉にならない程お美しいんです!//)
「で?どうなんだこのかんざしの具合は?」
(おとめさん、ああ、とても良い匂い……//)
「失礼……局長!」
何かを察したのか、土方が慌てて部屋に入ってくる。
だがしかし、時すでに遅し。近藤は茹で蛸のように顔が真っ赤になっており、すでに正体がなかった。
「局長しっかりしてください。おとめさん、大事ないですか?」
「土方さん……私は平気だけど、近藤さんがさっきからこの調子で……顔が真っ赤だけど大丈夫なのかい?」
「へひ……//」
近藤は意味のわからない鳴き声を発していた。
「……局長は大丈夫です。あなたに会って舞い上がってしまったんでしょう」
「?舞い上がる??まあ私の用は済んだしそろそろ帰るよ」
「……お気をつけて。あ、おとめさん!」
呼び止められたとめが振り向く。
「そのかんざし、とても似合ってます」
「……えっ!//そ、そうかい!?」
とめはその土方の言葉と優しい言い方に頬を染めた。
結局は土方が全部持って行ったのである。
(局長……)
一連の流れをずっと襖越しに聞いていた斉藤が、無言で天を仰いだ。
土方さんはこれを天然でできるからすごいですよね。
局長可哀想笑
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