熊と問題児のまとめ役
屯所に戻った三人は、各々黒崎豹魔の印象を語ろうとしたが、永倉はせっかく遠出もしたしという理由で早々に酒を飲んでいた。
壬生の屯所ーー斉藤の書院にて。
廃寺から戻って来た三人は各々、黒崎豹魔の印象を語ろうとしていたが……
「今から黒崎の印象を書いていく。とは言っても浪人の話だけだが……各々受けた印象を正直に話せ」
斉藤が文を書くつもりで、書院の文机の前に座る。
「えー、せっかく遠出したんだから一杯やろうぜ!虎之助から酒もらったし」
「……永倉さん、呆れましたよ」
「へーん、総司はそこで大人しく見てろってんだ。俺みたいに飲めねえしな」
「……永倉さん、斬られたいんですか?」
沖田は笑顔で躊躇いなく鯉口を切る。
「…………」
(ダメだ。そもそもこいつらは人の話を聞くタチじゃなかった……)
この状況をどうすべきかを斉藤が考えあぐねているとーー
「お邪魔するよ!!」
離れにいてもよく通る声が聞こえて来た。
敏姫の侍女・とめだ。
何があったのか、もうすでに若干キレ気味だ。
「おとめさん、何故ここに?護衛もつけないで……」
そこに新撰組一の色男、土方歳三が参上し、声をかける。
とめが何事か話すと、土方はなにやら困ったような、慌てたような様子で肩をすくめていた。
「ははぁ、また近藤さんが何かしでかしたな」
いつのまにか書院の縁側で様子を見ていた永倉がニヤニヤしながら酒を飲んでいた。
「……姐さんか……よし、頼んでみよう」
「何をですか?」
「お前たちのまとめ役だ」
斉藤はそう言って足をとめのいる方に向けた。
どうやら斉藤は、口下手な自分の代わりにまとめ役をとめに任せたいと思っているようです。
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