容保様は意外と……
茶屋に入ったものの、二人に出されたのは熱いお茶だった。どうするのかととめが見守っていると……
(どうするんだろう……)
しばらく見ていると、容保様がお茶が入った湯呑みに息を吹きかけた!
ええっ!?まさか冷まそうとしてる!?一国の主が??嘘でしょ??
そんなことは下々の者に任せればいいのに!
「……茶が熱すぎる時はこうすればいいと聞いた」
「まぁ!確かにそうですわね!私もしてみますわ」
姫様がそう言うと、お二人揃ってお茶をふうふうし始めた。側から見たらだいぶ滑稽な光景……しかもお二人は一国の主とその姫様である。
私はそのシュールな光景に思わず吹き出してしまった。
「あはははは!お、お二人とも……真面目な顔して何をしてるんだ!」
私は笑いを堪えながらもお二人を見た。どうやら茶がちょうど良い温度になったらしく、仲睦まじくお茶を飲んでいる。
もぉ〜世間知らずな二人が街に出るなんてまるで珍道中。おかしい事この上ないわ。
でも……
「美味しいですね。殿……」
「ああ……」
二人で肩を並べてお茶を飲んでいるのを見ると、胸が締め付けられる。
だって数日前の姫様だったら絶対にこんなこと叶わなかった。
(よかったですね……姫様……)
「次はこの茶菓子を食べてみたいです。可愛い形……屋敷では食べられなかったから嬉しい……」
「……敏、茶菓子をこちらへ」
「どうなさるの?」
容保様は茶菓子を食べやすいように一口大に分けた。
「この方が敏が食べやすい」
「まぁ……ありがとうございます……」
姫様は容保様が黒文字で分けてくれた菓子を一口口に入れた。
時が止まった。
姫様の頬がみるみる赤く染まっていき、瞳が輝く。
「まぁ〜!!とてもとても、美味しいですわ。このような美味なものは食べたことがありません」
姫様はそう言って容保様に目をキラキラさせてはしゃいでいる。
容保様はしばらくその様子を見ていた。
その目は、すごく愛おしいげに敏姫様の顔を見ていて。
なんかまた恥ずかしくなってきたな……
容保様は意外と、愛情表現豊かなのか?
「敏……私にも一口食べさせてくれぬか?」
「ええっ!?」
「ええっ!?」
容保様の言葉に、私も姫様も同じリアクションをしてしまった!
姫様は手にした黒文字を見つめ、握りしめたまま固まってしまった。
黒文字とは菓子を切るための小さな木です。
この物語の容保様は愛情表現が豊かで、もし幕末の京都がもう少し平和だったらのIFも含めています。
完全な私の自己満足です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




