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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第一章 奇跡が起こった夜

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容保様は意外と……

茶屋に入ったものの、二人に出されたのは熱いお茶だった。どうするのかととめが見守っていると……

(どうするんだろう……)


 しばらく見ていると、容保様がお茶が入った湯呑みに息を吹きかけた!


 ええっ!?まさか冷まそうとしてる!?一国の主が??嘘でしょ??


 そんなことは下々の者に任せればいいのに!


「……茶が熱すぎる時はこうすればいいと聞いた」


「まぁ!確かにそうですわね!私もしてみますわ」


 姫様がそう言うと、お二人揃ってお茶をふうふうし始めた。側から見たらだいぶ滑稽な光景……しかもお二人は一国の主とその姫様である。


 私はそのシュールな光景に思わず吹き出してしまった。


「あはははは!お、お二人とも……真面目な顔して何をしてるんだ!」


 私は笑いを堪えながらもお二人を見た。どうやら茶がちょうど良い温度になったらしく、仲睦まじくお茶を飲んでいる。


 もぉ〜世間知らずな二人が街に出るなんてまるで珍道中。おかしい事この上ないわ。


 でも……


「美味しいですね。殿……」


「ああ……」


 二人で肩を並べてお茶を飲んでいるのを見ると、胸が締め付けられる。


 だって数日前の姫様だったら絶対にこんなこと叶わなかった。


(よかったですね……姫様……)


「次はこの茶菓子を食べてみたいです。可愛い形……屋敷では食べられなかったから嬉しい……」


「……敏、茶菓子をこちらへ」


「どうなさるの?」


 容保様は茶菓子を食べやすいように一口大に分けた。


「この方が敏が食べやすい」


「まぁ……ありがとうございます……」


 姫様は容保様が黒文字で分けてくれた菓子を一口口に入れた。


 時が止まった。

 姫様の頬がみるみる赤く染まっていき、瞳が輝く。


「まぁ〜!!とてもとても、美味しいですわ。このような美味なものは食べたことがありません」


 姫様はそう言って容保様に目をキラキラさせてはしゃいでいる。


 容保様はしばらくその様子を見ていた。

 その目は、すごく愛おしいげに敏姫様の顔を見ていて。


 なんかまた恥ずかしくなってきたな……

 容保様は意外と、愛情表現豊かなのか?


「敏……私にも一口食べさせてくれぬか?」


「ええっ!?」


「ええっ!?」


 容保様の言葉に、私も姫様も同じリアクションをしてしまった!


 姫様は手にした黒文字を見つめ、握りしめたまま固まってしまった。

黒文字とは菓子を切るための小さな木です。

この物語の容保様は愛情表現が豊かで、もし幕末の京都がもう少し平和だったらのIFも含めています。


完全な私の自己満足です。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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