悪役公爵の独り言
こちらから後編スタートとなります。
更新頻度は落ちるかと思われますのが(今書いてるから!)よろしくお願いします。
俺は転生者だ。
物心ついた頃から、日本という国で1人の平凡な男として平凡な人生を送った前世の記憶がある。
トラックに轢かれたわけでもなく、病気で早死にしたわけでも、社畜で過労死したわけでもない。
超ホワイト企業のサラリーマンとして中間管理職までは昇進しつつ、平和に定年まで働いた。
結婚もしたし、子供にも恵まれ、孫も生まれた。
本当に平凡ながら、幸せな人生だったと思う。
なぜこんな平凡な俺が、異世界転生なんて非凡な経験をすることになったのか。
それは、きっと嫁の存在だと思う。
俺の唯一非凡だった点といえば、嫁がBL同人作家をしていたことだろう。
趣味で楽しんでいた程度とはいえ、SNSで発信すればいいねが常に3桁もらえるくらい人気はあったようだ。
その嫁の作品『契約花嫁の真実の恋』は、結婚してから初めて「これ読んでみて!!」と押し付けられ……いや、渡されて読んだ、BLハジメマシテの作品だった。だから思い入れと強い記憶はそれなりにあったのだが……。
なんと、その世界に転生してしまった。
悪役公爵として。
本編の中での悪役公爵の立ち位置はこうだ。
無理矢理結婚を迫った主人公シルヴァールに、初夜で「お前を愛するつもりはない」と言う。
更にはR18本なのでシルヴァールにあれやこれやとあかん事を致しまくる。
そしてヒーローである甥っ子と結ばれるための当て馬、踏み台、スパイスとなり、最後は断罪されて追放されて一行ナレ死。
キャラの背景や行動原理が語られることの無い、主人公に悪辣でエロいイジワルをしてざまぁされる名前付きモブ、それが俺なのである。
それを知らずに生きてきた間は、俺なんでこんなに虐待とかされちゃってんの?と思いながら精神年齢80歳超えの忍耐力で耐えてたけどさ。
自分の立ち位置がわかってからは、こんな生い立ちだったらそりゃ捻くれもするよなって理解したわ。
ヒロインのシルヴァールとはストーリー通りに結婚。ちなみに初夜で『お前を愛することはない』は言ってない!
言えるか、んなこと!
結婚式を終えてはや1年。おおむね平和に過ごせている。ストーリーは大きく外れることがないように、イベントをこなすことができているとは思う。自分の断罪回避のためのルヴァとの関係改善も上手くいっているし。
まぁ、予想外のとばっちり?もあったりなかったり……。
夜会でエロオヤジにケツを揉まれたのはまさしくとばっちりだよな……。まぁルヴァをエロイベントから守れたのでよしとしよう。
そして何より、ジークの怪我をルヴァがキレイに治してくれた。それが半年前の夜会の後のことだ。ストーリーで知っていたこととはいえ、ジークの歩く姿をこの目で見た時は本当に感動した。
ルヴァ……。本当にお前は最高のヒロインだよ!
ジークのリハビリも順調のようだし、最近はジークとルヴァ2人きりで過ごす時間も多い。2人の仲は順調に深まってきているのではないかと思う。何よりだ。
そんな折、領地で魔獣の異常発生と報せがあった。これは中盤のメインイベントだ。
そこに俺は単独で乗り込んで魔物の群れと対峙している。←イマココ。




