表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/26

2人の決意

「今日の治療はこの位に。お加減は如何です?」

「大丈夫。ありがとう。痛みがないって、こんなにも気分の良いものだったんだな」

「どうかそれは、旦那様の前では仰らないでください」

「ああ、わかっている……まさか、あんなに泣かれるとは思わなかった。事故も怪我も叔父上のせいではないのに」

「そこは私も気になっています。旦那様はまるで事故がご自分ご自身の罪であるかのように思っておられるようなので」

「確かに叔父上はあの日、様子がいつもと違っていた。日にちをずらせないかと強く父上に話されてて」

「旦那様には予知のスキルでもあるのでしょうか?」

「そんな話は聞いた事ないけど……」



「杖なしで歩けたんだ!」

「旦那様がお喜びになりますよ」

「でも、まだ言わないでほしい。もっと出来る事を増やして、叔父上を驚かせるんだ」

「承知しました」

「……叔父上は昔から仰ってた。『多少器用に魔法は使えるが、俺なんぞを見習ってはいけない』と。『ジークには父上というこれ以上ない手本が在るのだから、見てよく学ぶんだ』とも。ずっと不思議だったんだ。叔父上の言葉も、使用人達の態度も。父上は確かに偉大な方だった。強くて、大きくて、正しく貴族で。だからと言って叔父上が劣るという事はないのに」

「旦那様の、あのご自身を貶める言葉は本当に我慢なりません。……どうも大奥様に、その原因があると」

「お祖母様は父上や僕には優しかったよ。だけどどんなに思い返しても、叔父上とお祖母様が会話しているのを見た覚えがないんだ」



「まさか、兵士を相手に互角とは。ネルベルクの兵士は練度が高いと言うのに」

「互角程度ではダメなのです。もっと、圧倒的に強くならねば」

「それは、私も同じだ」

「先代公爵閣下のお姿の肖像画を拝見しました」

「もう、その話し方はいいよ」

「じゃあ、遠慮なく。アンタと先代は本当にそっくりだった。俺の旦那様だけが、異質で」

「そんな事、今まで考えた事もなかったよ。父上も母上も、私だって叔父上が大好きだ。というか、あの人が誰かに嫌われるとは思えない」

「確かに公爵家としては異質だけれど……旦那様はすごい美人だ。それを不細工だなんて」

「美人?それは男性に使っても良い言葉なのか?」

「綺麗な人に美人と言って悪い事などあるものか。顔だけじゃなくて、心根も、無意識の行動も、魔力の質も、あの人が構築する術式も、全部が綺麗なんだ」



「こんな大規模魔法、見た事ない」

「こっそり廃鉱山に来て正解だったな。叔父上にバレる所だった」

「マリアンナに服を汚したと怒られるぞ」

「……今度は訓練着を持ってこよう」

「大奥様の目は節穴って事だな。しかもロクデナシだ。ああ、アンタの祖母殿でもあったか」

「叔父上とお祖母様、どちらか一方を選べと言われたら、私は一瞬たりとも迷わないが。ルヴァ、私がお祖母様に斬りかかりそうになったら止めてくれないか」

「無理だ」

「え?」

「その前に俺がぶちのめしてる。俺はどうしたって旦那様への仕打ちが許せない」

「……叔父上が顔色を変えて止めそうだな」

「そしたらまあ、仕方ないかな」

「私の叔父上は、誰よりもお優しいから」

「俺の旦那様な」



「ジーク!魔物の異常発生だ!発生源が街道に近いからって、討伐軍編成をヴィクトールに丸投げして旦那様が先行した!」

「は……?叔父上はどういうおつもりだ⁉︎」

「俺達は離れに避難していろと」

「従うのか?」

「まさか。旦那様には、自分がどれ程に必要とされているのか、よく理解して頂かないと」

「ああ、その通りだ。もう何も、誰にも……奪わせない!」

こちらで前編終了となります。


後編も初稿ではありますが少しずつ公開していきますのでお付き合い下さいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ