第2話「宿なし航空艦隊」
氷山空母ハボクックは未完成だが、部隊は既に収容されていた。航空部隊の運用には困らないからだが……それは氷山に住むということを意味していた。「あたしらいつから北極探検隊になったんだろうね」「言わないで。それと探検隊は探検隊でも遭難してる探検隊だね」「怖いこと言うなよ」恐怖ではなく寒さで震えるシャインナイツに、ポップペップバーンは呆れた顔を隠さなかった。そんな遭難中の探検隊の根城にも、新しい支援が届きはするようだ。いささか旧式の感が強いが遺跡の技術のせいでよくわからない、スピットファイヤの海軍版、シーファイヤの一個航空部隊が纏めて引っ越してきた。
「かっけー」とシャインナイツが次々と着艦するシーファイヤの群れにぽかんとした顔を向けていた。四枚プロペラにジェット混合動力、スピットファイヤの系列ではあるが、初期型を知っていると酷く混乱するスピットファイヤだ。後退翼か木の葉翼かを考え採用する議場では、木の葉翼を採用する為にわざわざ可変揚力発生器なる人工重力を生み出す装置を翼面に埋め込んでいる曰くを、ポップペップバーンは耳にしたことがあった。あくまでも、噂だ。彼女的には、「まさか昔の形を守る為に最新の機械を載せはしないよな」と考えていた。
「知ってるかシャインナイツ。ハボクックの飛行甲板は氷じゃないから滑らないんだ!」「知ってるよ。スケートをしようとして、膝がヤスリにかけられた女を知ってる」氷山空母の甲板は巨大なスケートリンクだと思っていたのはけっこう多く、少なくない。「ジェットは耐熱で分厚い甲板じゃないと、普通の空母の甲板でも駄目だから」ハボクックはまるっと甲板は装甲してある。大型で重いジェットを飛ばす為だが、彼女の場合は戦略爆撃機も飛ばすから、飛行場以上に頑丈だ。流石に、陸程簡単には修復できないが、それでも氷をもう一度作れば最低限の下地は間に合わせられた。長く使えるものではなくとも、軽い戦闘機くらいなら、たっぷり滑り止めを撒けば一回か二回は離着艦に使えるのだ。ポップペップバーンはその話を飛行長に聞いたことがあった。
「あっ!うちの40mm何発か航空隊に融通してくれて頼まれてたんだ。ポップペップバーン、ちょっと手伝って」「いいけど……」40mm機関砲弾は大きく重いがそれではなく「そんなの何に使うんだろ」「対戦車砲に使うんじゃない?」「シャインナイツ、あれって硬芯徹甲弾でしょ?うちらの榴弾じゃん」「さぁ?あんまり兵器て詳しくないしね」




