第1話「10tの落し物」
「でけぇ……」「10t爆弾だ」「B-36ピースメーカーの落し物だよ」「でけぇ……」「爆弾だぞ、危ないから近づくんじゃない」「とっくに解体した。信管を引っこ抜いて、炸薬だけ」「吹っ飛んだらお前のせいな」「えぇッ!?そりゃないよシャインナイツさん!」ポップペップバーンはそんな会話を耳にしながら、冷凍庫そのものであるハボクックの飛行甲板候補地の上で、銃座に付いていた。たぶん、ルーナ・シャインナイツが給糧艦から山ほど食材を盗んだ罰ゲームなんだと、ポップペップバーンは考えていた。
サイレンが鳴り始めて、何千メートルも遥か彼方から落っこちてきた落し物が、ハボクックの氷の甲板に突き刺さったものが引っこ抜かれて転がっていた。双眼鏡で空を見ればまだ、高高度に白線を引くB-36の編隊を見ることができた。流石に戦略爆撃機が高高度爆撃をしてきたら、ポップペップバーンが使う40mmではまったく届くことはなかった。183mm対空砲なら一万も余裕だろうか。
「10tてどのくらいなんだ、ポップペップバーン」「……トラックくらい?」「トラックが落ちてきたってことか。ピースメーカーは凄い飛行機なんだな。爆弾の代わりに、10tぶんの美味しい食べ物を落としてくれてもよかったのに」ハボクックの氷の船体の上で地団駄を踏むシャインナイツを見てポップペップバーンは「……ぷっ」彼女らしいと少しだけ吹き出した。ポップペップバーンは水道ホースをころころ伸ばして、10t爆弾の大穴に噴きかけた。冷凍にしてしまえば、氷山は修復されるのだ。「シャインナイツ、氷の上を歩いてたらまた落ちるから、歩かないように気をつけてね」「二度と落ちない」シャインナイツは戒めていた。
「しかしいつも私たちて、だいたい見てるだけだな」シャインナイツは、10t爆弾が取り除かれて海中投棄される様子をぼんやりと、しかし深い意思を秘めた瞳で見ている。「B-36て実は見たことないのよね」「一万メートル以上の高度だからねぇ。下からじゃ、ゆっくりと動く鈍色の大きな飛行機くらいにしかわかんないよね」B-36は遥か高空からやってくる。ポップペップバーンは一方的に叩いてくるそれが、まるで科学の怪物のように思えた。科学が弱いと一方的にやられる。わけもわからず、突然に。「まっ、この豆鉄砲じゃどのみちてもんだけどな」「シャインナイツ。大きなガンでも、難しいんじゃない?」「対空ロケットか!」「あー、そういうのもあるんだっけ」




