表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

第6話「プライベート・ヒイロ」

制空戦……ノヴォハザールのジェット戦闘機が雲を引く。「警告、警告、敵機」増槽が残った燃料を吐きながら捨てられた。抵抗の減ったF9Fパンサーの速度が増し、加速がヒイロの背中を座席に押し付けた。「本当に山ーーいや、マキナの話だと遺跡なんだっけ」ランドマークである『天の梯子』を前にしてヒイロは僅かでも、戦いの前に戦いを意図的にリセットした。思考を、切り替えた。遺跡の周囲で空中戦が発生していた。誰も彼も目的は遺跡だ。奪われる前に奪え、争奪戦。「こっちは直線翼、Mig-15は後退翼。相手が悪すぎるかな」愚痴ても仕方がない、とばかりにヒイロは空へと侵入した。加速度で、コンピュータが補正するせいで揺れる照星に敵ジェットを捉えて撃つ。


ーー六時間前の空中戦だ。天の梯子周辺ではメカリスとノヴォハザールの軍隊がお互いの主導権を握ろうと叛乱鎮圧の“ついで”に争奪戦極まりつつある。地上のことはおかまいなしで、だ。そのことに気がついてから、ヒイロは哨戒で飛ぶたびに街の住人、村の人々、そんな誰かが見られる場所で一人航空ショーをするようになっていた。銃弾を撃つよりも、自分に合っている気がした。退役したら、農薬散布の仕事かサーカスのパイロットになるのかな、と半分冗談でしかし、半分は本気で考えていた。ヒイロは飛ぶことが好きなのだ、戦いが好きなわけではない。


『ヒイロ、後方から敵機が接近中』「見えた!Mig-15だ」悩んでいた。だが振り切った。スロットルを開いてF9Fよりも高性能のMig-15へ喰いついた。遺跡の技術のせいで純粋な技術開発の系譜が必ずしも旧式を圧倒するわけではない。ときには旧式のロートルが思わぬ怪物に化ける、そういうこともあるのだ。だが「また速くなった」同型機であっても性能は急速に変わる。遺跡の技術解析と実用化が開発のペースを遥かに上回っていたせいだ。Mig-15も一ヶ月、もしかしたら一週間で性能が変わることもあった。Mig-15に、また開発国に限った話ではない。ヒイロは推定新タイプのMig-15に圧倒された。上昇からの追尾、空を目指してどこまでもあがったが他の機体が横から撃ってはこなかった。高度と引き換えに急速に失っていく速度が限界を迎えた瞬間、F9Fを滑らせて急降下させた。だがーーMig-15の回頭が優っていた。


「後ろを盗られーー」機首にジョーカー、あいつか、とヒイロが後ろに首を回した瞬間だ。ジョーカーのMig-15が翼下のものに火を灯した。切り離されたそれは、真っ直ぐに、ヒイロのF9Fを追ってきた。まだ速度が出ていない、回避に使う機動の効きは鈍かった。弾頭が右翼を直撃、へし折った。「ーーうわぁっ!?」揚力のバランスが崩れて急激に右にロールし始めたF9Fをフラップとラダーを使って封じ込めた。「機体が滑る……メーデー、メーデー、墜落する。座標ーー」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ