珍しい事が起きましたっ
なんだかんだあって平和らしきもの(もとから平和だったような気がするけど)は戻ってきた
「あ、もう店回る時間がない!!」
「あー、本当だ」
「俺イカ焼き食いたかったー!!」
「守陽うるさいですよ」
「だってさぁ…」
突然守陽さんが子供みたいに駄々をこね始めた
そんなにイカ焼き食べたかったんだ…
でもイカ焼きくらいなら今すぐ行けば買えるんじゃ…
「守陽、ほら」
「え? あ、イカ焼きだ…!!」
「智輝買ってきたんですか?」
「食いたいもんがあったからついでだ」
「サンキュー、智輝!!」
あ、なんか智くんイケメン…!!
さりげない優しさだね!
「みしろ、望みのものだぞ」
「……!!」
なるほど。翠白ちゃんへの贈り物のついでか
そうじゃなかったら智くんがそんな事するはずないもんね
わかってるよ。まあまあ失礼な事言ってるのは自分でもわかってるよ
でも素直な感想だと思わない?
「良かったねー、翠白ちゃん」
「…っ、…っぁ…」
「…!?」
「翠白が喋った!!」
え? なに? 喋ったって言っても一音だけな気がするけど?!
そんなに珍しい事なの!?
「喋れなくなったはずなのに…」
「あまねが起こした奇跡だな」
「え? 私? うーん、そんなに大げさじゃ…」
「これはとても素晴らしいと思いますよ」
「ど、どうも…?」
『けっ、どうせ上っ面でしか思ってないくせに』
(緋人、口悪いよ。それに紫暮さんそこまで悪い人には見えないけどなぁ…)
『雨音は観察力とかいろいろ抜けとるからな』
(失礼なやつ…)
でもやっぱり何で緋人は紫暮さんの事毛嫌いするんだろう?
ちょっと私の頭の悪さではわからないなぁ
あ、そういえば…
「なんで翠白ちゃんって喋れなくなったの?」
「素朴な疑問ってやつか…。いや、素朴かどうかもわからないな」
「あ、なんかごめん…。でもなんか智くん知ってる感じがする。教えて」
「どこからそんな自信がくるんだか」
智くんは少し困った顔をしてた
やっぱり余計な事聞いちゃったかな?
なんだか聞かない方がいい気がしてきた…
「あ、ねぇ智く…」
「教えてやるよ。みしろもあまねに懐いてるみたいだし」
「あ、ありがとう…。というか、あれって懐いてるの?」
「限りなくそれに近いものはあるな」
そうか…、近いものか…
あれだね、人に好かれるのは悪くないね
むしろ嬉しいね。心がぽかぽかするよ
「えーとなぁ…、どこから話すか…」
せめて話す部分を決めてから教えてくれると嬉しいな
私、頭そこまで良くないから混乱する
「最初っからの方がいいか。実はな…」




