力の対価
今回はちょっと暗めの話です
「みしろは力が強いらしいんだ…。まあ、よくわかんねぇんだけど」
「そうなんだ…」
それから智くんはぽつぽつと話し始めた
自分がわかる事を出来るだけ詳しく、わかりやすく
翠白ちゃんは、浅葱さんよりも力が強いらしいという事
その強大な力のせいで成長がすごく遅くなっている事(本当は浅葱さん達の同じ年らしい)
いつも力に負けて、熱を出していたという事
元気になっては倒れるの繰り返しだったらしい
そのたびにみんな心配して、不安になったという
でも、何かを失うなんて事はなかったらしい
倒れても、意識を失っても、最後は元気になって、戻ってきたから
いつも元気いっぱいの顔で笑ってくれていたから
だからみんな安心出来たんだ。って智くんは言った
「でも…、しばらくしてからかな…? みしろが、生死をさまようほどの高熱を出したんだ…」
「そのせいで声を失った…?」
智くんは黙って頷いた
何かを思い出したかのような悲しい顔をして
智くんにこんな顔をさせる位なら、聞かない方が良かったかもしれない…
こんな身勝手な質問にいちいち答えなくても良かったのに…
「智くん…」
「ん、大丈夫。それでな? さら達のおかげで大丈夫だったんだけど…、な」
「うん…」
「目が覚めた時、声が出なくて少しパニックになってたらしい。でも俺達が様子を見に行った時には、いつもの笑顔で俺達を迎えてくれたんだ」
少し、ほんの少しだけ、智くんは嬉しそうな顔をした
でもすぐにもとの暗い顔に戻った
「しばらくはいつものように過ごしてたんだ。でも少しずつ、みしろから表情が消えていった」
「少しずつ…?」
「あぁ。最初は悲しいと思う時の表情が消えた。そこから段々…。最後は嬉しいと思う時の表情が消えた…。それと同じように浅葱の表情と声も消えていった…」
あ…。浅葱さんが喋らないのもそんな理由があったんだ…
たしか2人で1つなんだよね
だから翠白ちゃんと同じようになったのかな?
「力が強い者の宿命ですね。ある意味、こういう物は。強すぎる力を制御出来ず暴走させて、何かを無くす…。現に、沙羅様もそうでしたし…」
「…紫暮」
「っ…!! あ、す、すみません…」
「さら…。止めてやれよ…」
沙羅姉怖い…
ちょっと睨んだだけなのに紫暮さんがあんなに怯えるなんて…
ある意味すごいけど、なんだかなぁ…
「おい、沙羅そろそろ…。ん? なんでお前らがここに?」
あ、あいちゃん。なんか久しぶりに見た気がする
沙羅姉を呼びにきたんだ
「お久しぶりっす。翡翠さん」
「あぁ、守陽は相変わらずだな」
「碧斗。今日はこの子達お客様よ。文化祭だから遊びにきたみたいなの」
「そうか。でもそろそろ終了するからぼちぼち帰れよ」
「はーい」
「紫暮はちょっと残りなさい」
「はい…」
やっぱり沙羅姉怖いよ…
紫暮さんだけ残して何するの?
お説教? そんなのだめだよ
「翠白、浅葱、元気してたか?」
「「……(頷く)」」
あれ? 心成しかあいちゃん優しい顔してる…
まあ、気のせい…かな?
「あ、そうだ沙羅。頼み事があるんだ。紫暮の事はまた今度にして、手伝ってくれないか?」
「…1回10万」
「え゛…、それは…無理…」
「冗談よ」
あれだ。なんだかんだあるけど沙羅姉とあいちゃんは仲いいね
それにあいちゃんのおかげて紫暮さん助かったね
わざとなのかな? どうなんだろう?
《――只今の時間を持ちまして、2日目の文化祭を終了致します。明日は最終日です。生徒の皆さんは――………》
あ、本当に終わっちゃった
今日はいろんな事があって全く回れなかったから、明日は目一杯楽しもう!
暗い話は私達には合わないね
前が悲しかったんなら、これから先を楽しんだらいいんだよ。ね!!




