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七番目の黙示録  作者: 凛月
第三章・忌むべき邂逅
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棚ぼたここに極まれり

ST.954 『シャンデラ大陸・要塞都市レガリア』



 俺を含む調査隊の面々は、リーセル自前の大型トラックに乗り進むこと一週間、フルフレイヤ大森林から出てくる魔物や魔獣を都市部に進行させないために築かれた、要塞都市レガリアに足を踏み入れた。


「ようやく、ってとこだな。あー体がだるくて仕方ねえ」

「リーセル様の車が無ければ、三か月以上かかるんですよ?贅沢言わないでください」

「へいへい」


 タルカスを嗜めるサラを見るのも、この一週間で慣れたものだ。風脚の面々から、これまでの旅の話も聞いたりして、退屈になるはずの旅路も楽しいものになった。聖都への一週間は、話し相手も居なくて、かなり退屈だったから助かった。のだが――


「ここが……レガリア……?」


 ゲームでは、大森林はゲームの仕様に慣れるために、大体の初心者が訪れる場所だった。そして、その最前線基地として大賑わいしていたのがこの城塞都市なのだけど、現実はそうではないみたいだ。


「思った以上に人がいないな」

「前に来た時は、もう少し人がいたんだけどね。森林の方に壁を築いているから、そっちに人が集まっているんじゃないかな」

「壁ならもうできちまってるよ。何年前の記憶だそりゃ」

「あれ、そうだったの?」


 旅の途中にわかったことが一つ、リーセルは旅をするけど、一つの国に何年もいるため、他の国の情報を知るのは数年かかるという事がある。


「うーん……聖都でゆっくりし過ぎたかな。森林の情報も聖都に入ってくればいいんだけどね」

「今は、ほとんど補給拠点として使われてんだ。ここにいる傭兵のほとんどは、補給依頼を受けてきたやつらだぜっ」


 聖都に来るほんの少し前に来たんだぜ、とホメロスが肩を組んで話しかけてきた。こうやってスキンシップを取ることは、旅の途中でもよくあった。この人は距離感がおかしい。風脚の人たちも、この癖に振り回されていたらしい。特に女性関係は酷い有様だったようだ。


「暑苦しいから離れろ……」

「そんなこと言うなよ~」

「ホメロス、その辺にしておけ。男だからと言って、あまり詰め寄るのは良くないぞ」

「一々うるせえんだよ~っておわわ!」


 バンジョウがホメロスの首根っこを片手で掴み、俺から引きはがした。

 ホメロスを諫めるのは、並外れた膂力を持つバンジョウの仕事だ。タルカスでもできることだけど、ホメロス絡みのトラブルは、遠目で笑いながら見てサラに引っ叩かれているらしい。


「ここから先は馬車での移動だから、必要なものをここで揃えておこうか」

「車で行かねえのか?」

「私の車は大きいから、他の傭兵が、乗り合いの車だとよく間違えて話しかけてくるんだよね。汚さられたり、断るのも面倒だし、馬車が使えるところでは、使わないようにしているんだ」

「だから、結界魔術で隠したのか」


 リーセルの大型トラックは、詰めれば重装備の傭兵が十人以上座れるほど大きい。リーセルの莫大な資産の賜物だ。二千年も生きていれば、大金持ちにもなるものだ。


「ところで、アルシュはどこ行った?」

「……車の中だね。結界の中に一つだけ魔力反応がある」

「ったく…ルーカス、迎えに行ってやれ。出てこねえようなら、引っ張ってでも連れてこい」

「了解しました」


 アルシュは極度の人見知りだ。この一週間距離を縮めようとしたけど、フードを取って、顔を見せてくれる程度までしか成果は得られなかった。今頃要塞に入りたくなくて、車でガタガタと震えているころだろう。同性であるサラと、同じ魔術師であるルーカスには、そこそこ心を許しているようで、ほとんどの時間どちらか二人と過ごしている。


「おーし、ルーカスとアルシュの買い出しも一緒にしてやれサラ」

「タルカスはいかないのか?」

「俺は馬車の手配だ」

「タルカスは顔が効き(・・・・)ますからね」


 顔が……ね。獣人の顔付きがどうかわからないけど、凶悪な面だという事はわかる。今までも結構な額値引いてきただろう。


「それじゃ、二時間後に広場へ集合ね」


 そういって、リーセルは一人で街へと歩いて行った。


「ハルは野営の仕方知ってんのか?」

「いや、わからん。一回だけ野宿したことあるけど、土の上で寝ころんだだけだからな」

「お前……やることなす事無茶苦茶だな」


 確かに、普通ではないな。


「まあ、今回はリーセルがいるからな。普通の野営じゃねえが」

「便利だよなー、結界魔術。リーセルの実力があってこそだけどさ」


 設置型の結界魔術。フルジア二級魔術師も使ってはいたけど、リーセルの結界はそれの比じゃない。結界と認識阻害の複合魔術。ただでさえ、複合魔術は難易度が高いのに、それを維持し続けるのは人の所業じゃない。


「お前、弟弟子なんだろ?できねえのかよ」

「二千年生きている魔術師と一緒にすんな。魔術は研鑽した歴なんだよ」

「傭兵業とおんなじようなもんか」

「そういうわけだ」


 まあ、例外はいるんだけど……。

 リーセルは「吹っ掛けってくるわ」と馬車の貸し出し所へ鼻歌交じりに歩いて行った。 

 御者よ、すまん。俺にはどうにもできない。


「さて、俺も支度しますか」


 パラインで揃えたものもかなり消費したし、三日間の野営……師匠から貰った野営道具は新品同様だけど、あまりにも時代遅れの代物だからなあ、ここで新しく買いそろえておくか。

 後は、森に入った後の食料も確保しとかねえと。現地調達もあり得るけど……それは風脚が慣れてるはずだから、その時にでも教えてもらおう。

 さすが要塞都市と言ったところか、必要なものが一時間経ずで集まってしまった。

 馬車の所には、まだ誰も集まっていないだろうし……とりあえず、別の場所に着いたってことで、アンリに葉書を送っておこう。エルフとパーティー組むって書いたら驚きそうだな。

 そのついでに、レガリアを探索することにした。

 この世界に来てから、ゲームと違うところがいくつかあったけど、ここまで違うところを見るのは初めてだ。これもプレイヤーがいない影響か…。


「悩みどころは装備の質だよなあ」


 武器や、道具の質は当たり前に低い。魔素や魔術という技術があると言っても、まだまだ前世の技術には追い付いていない。技術革命が起きて間もないから、仕方ないというのもあるんだけど……。

 戦闘に使う装備は、やっぱり宝具か、それに近い物がいる。

 そうなると、迷宮に入るしかない。風脚とリーセルにも手伝ってもらえばいいんだけど……調査が終わったらこの話を持ち出してみよう。魔獣にしか興味がないリーセルはともかく、世界を股にかける風脚なら付き合ってくれるかもしれない。

 そんなこと考えながら散策している時、俺のすぐ側を大人の男が途轍もない速さで吹っ飛んで行った。


「……は?」


 見間違い……か?

 そう思いながら吹き飛んで行った方向を見ると、ケツを突き出した男が地面に突っ伏していた。そして、飛んできた方向を見ると、拳を突き出した、外套を身に纏う女性が、立っていた。


「私は遊女じゃない」


 痴漢か、ナンパか……みっともないことをした野郎がお仕置きをくらったみたいだな。


「てめえ!女あああ!!」


 仲間らしき男が女性に手を上げようとしたが、それもまた防がれ、何故か俺の方に飛んできた。


「あっぶな…」

「ぐああああ!!!」


 そして、二人目の男は、さっきの男のケツに顔面を打ち付けた。男の方が悪いとはいえ少し同情するな。男のケツに顔を付けるのは、抵抗というか、絶対に嫌だ。

 しかし、二人の傭兵の男を拳一つで制圧するとは……。

 大太刀が武器か。布に包まれていて、全容は見えないけど、魔素が揺らぐこの感じ、宝具の類だ。そんなもの持ってるいるという事は、少なくとも準一級以上の傭兵だ。それに手を出すとは……馬鹿だなあ。


「あなたも、仲間?」

「おわっ!?」


 目視で確認していたにもかかわらず、瞬く間に俺の目の前に現れた。


「ち、違う違う。通りすがっただけ!」

「そう。ならい、い――…」

「え、ちょ」


 そうして、完全に脱力しきった彼女の全身が、俺の身体に重くのしかかった。


「…どうすんだよこれ」


 喧嘩騒動のおかげで、周囲の視線は俺……というかこの人に集中している。衛兵が来るのも時間の問題だ。幸いなことに、被害者?は気絶しているから、逃走の懸念もない。だから、俺がここにいる必要もないんだけど……正直逃げ出したい、だけど意識のないこの人を放っておくのは気が引けるし――


「ちょっとそこの君、少しいいかな」


 なんて思案していると、俺を呼ぶ男性の声が聞こえてきた。流石、要塞都市と言ったところか、衛兵の質がいいらしい。


「確認したいことがあるのだが、君はその女性の知り合いか何かかね?」

「いえ。急にのしかけられただけで、初対面です……」

「そうか。しかし、何というか……信用されているみたいだが」


 信用?何のことだ。

 そう思って、彼女の事をよく見ると、逃がしはしないという風に、がっつりと両腕で俺の腰を掴んでいた。気を失ってる……んだよな?

 騒ぎを見ていた人たちが、俺は事件に巻き込まれただけで、なんの関わりもないと説明してはくれたものの、この調子じゃ埒が明かない。


「悪いが同行願えるかね、私たちでは手に終えなさそうだ。特にその布に包まれた剣……宝具の類だろう。私たちが触れれば、あっという間に魔力を食われかねん」

「ですね。それに俺が動かないとどうにもなりませんから、とりあえず運びます」

「感謝する。ついてきてくれ。トランクは私が預かろう」

「頼みます」


 俺は、まったく起きる気配のない彼女の身体を抱えながら、衛兵と共に詰め所へと向かう。


「それにしても、触ってもないのに、よく宝具だって見抜けましたね」

「ここは多くの傭兵が訪れる、要塞都市だ。魔剣の類を装備している傭兵もいるからな。誤って触れて、負傷しないようにするために、武器の目利きは必須事項なのだよ。これは魔剣の類ではないだろうが、周囲の魔力を取り込む、所謂魔力食いという奴だろう」

「そこまで、理解してるとは。ここの衛兵はかなり優秀みたいですね」


 所有者が気絶している今、この剣は制御を失っていると言ってもいい。現に俺の魔力が吸われているのがいい証拠だ。触れてすぐ魔力欠乏を起こす程――という訳ではないけど、急激な魔力消費は、貧血のような症状を起こすから、魔力量の少ない人には、危険だという事に変わりはない。直接触れるなんて論外だ。

 詰め所に着くと、先に連れていかれた二人組の男が、身動きの取れないように縛られていて、それを見下ろす形で、二人の衛兵が見張りをしていた。どうやら簡単な聴取は既に済んでいるらしい。


「さて、一応暴力沙汰ではあるから、被疑者……?にも聴取をしたいところなのだが……起きそうか?」

「ここまで運んできて、目を覚まさないという事は、ちょっとやそっとじゃ起きないでしょうね」


 どう起こそうか、衛兵と二人で悩んでいるとき、誰かの特大の腹の虫が泣いた。


「君、腹でも減っているのか?」

「俺じゃないです。……多分彼女の腹の音かと」


 どうやら、彼女は空腹で気絶してしまったようだ。……上級の傭兵だと思ったけど、俺の見込み違いか?


「俺のトランクに食べ物が入っているので、その匂いで起こせるか試しましょうか」

「見られてもいいのか?私物ばかりだろう」

「見られて悪いようなものは入れてませんよ。今鍵を開けました」

「ほう、君は魔術師だったか。それでは失礼する。――……」


 トランクを開いた時、一瞬の間があったけど、目的どおり、衛兵は一番手前に入れておいた食料袋を手に取った。間が出来たのは、おそらく俺の宝具を見たからだろう。


「驚いた。このトランク、魔道具だったのか。ここまで性能のいい物は初めてみる」

「頂き物ですがね。とりあえず、袋を開けて匂いを嗅がせてみましょう」

「これも魔道具か……」


 匂い消しのついた袋を開けると、詰め所に食事処のような匂いが充満していく。それに反応してか、俺の腰を掴んでいた両腕が一気に緩んだ。


「食べものの匂い……」

「食べてもいいから、とりあえず俺から離れ――」

「ありがとふ」


 許可が下りるや否や、彼女は俺を離れ、袋に入っていたほとんどの食料をものの数分で腹にしまい込んだ。

 そして、腹を満たした彼女は俺の目の前に正座し、ずっと被ったままだったフードを取る。中から現れたのは、美人この上ない、橙色の髪に黄金の瞳を持った女性だった。


「助かった」

「お、おう」

「……」

「……」

「聴取を始めてもいいか?」


 俺たちの謎の沈黙を見かねて、衛兵が助け舟――ではなく本来の目的を果たすために口を開いた。そうして、この一件の事情聴取が始まった。

 事件のあらましは、彼女の腹の音を聞いた二人組の男が、飯を奢ると彼女に近づき、その対価に体を要求した。それに気分を害した彼女が、男二人を殴り飛ばしたという事だ。

 そして、この事件は男二人組の謝罪という形で治まったんだけど……問題はここからだった。


「見るに君は傭兵だろう。一応だが、身分証を見せてもらえるか」


 衛兵の問いかけに、彼女は正座したまま、真面目な顔でこう答えた。


「掏られた」

「す…は?」


 衛兵は頭を抱える。多分、なにやってんだこいつ。って思ってるんだろうな。


「では、傭兵登録証は?」

「それも一緒」


 衛兵は、またしても頭を抱え、遂にはため息をも漏らした。そりゃそうだ。傭兵登録証が無ければ、緊急時以外、武装することが許されないのだから……。

 つまり、この案件、さっきの暴力沙汰以上に面倒くさいという事だ。


「衛兵として、登録証を持っていない君に帯剣を許可することはできない。だから、その剣は一時詰め所預かりとなるがよろしいか?」


 彼女は、表情を変えることは無かったけど、それを聞いて固まった。かなり焦っているみたいだ。師匠のおかげで、表情が読めずとも感情を理解するという小技が役に立つ日が来るとは……。


「……特例として、傭兵の荷物持ち、もしくは管理下にあるという事でなら、許可できるのだが……見た限り仲間はいなさそうだな。君…えーと、名は何だったかな?」

「ハルです」

「うん。ハル君は傭兵だな?」

「はい。ですけど……」


 俺はトランクの中でも、一番奥の方に隠してある、身分証を取り出して衛兵に渡した。


「うーん……見習いか……」

「はい……管理資格を持つのは二級以上ですもんね」

「そうだ。こうなると、ここで一時許可証を作らなければならないが……君、金は?」

「掏られた。一文無し」


 全部、同じものに入れていたみたいだな……。空腹で倒れたくらいだから、数日は前のはず……追跡の術式が刻まれた魔道具でもない限り見つけることは絶望的だ。

 っと、そろそろ、皆との約束の時間だ。広場に行かないと。


「俺が出来ることはなさそうなので、これで失礼しても?」

「ああ、協力感謝する」


 俺が立ち上がると、彼女は正座したまま、俺のコートの裾を掴んだ。表情はあまり変わらないけど、助けてくれと言わんばかりに、眉が下がっていく。


「……はあ、悪いけど俺も急いでるんだ。他を当たってくれないか」


 可哀そうではあるけど、素性も知れない彼女を助ける利点が何処にもない。

 大の男を素手で吹き飛ばすことが出来るくらいの実力を持っているから、一人でもどうにでもなるだろう。


「……貸、一つ」

「え?」

「助けてくれたら、貸を一つ作る」


 そういって、彼女は俺の方を向き、真剣な眼差しで見つめる。


「その貸が帰ってくる保証は?それにさっき出会ったばっかなのに、そんなこと言う奴信用できねえよ」

「信用……」


 彼女は少し黙り、俯く。しばらくして、自分を納得させるように頷き、もう一度顔を上げ、俺を指さした。正確には俺の胸にある誓約の証(・・・・)を――


「シエル・ライトブルー(・・・・・・)の名を持って、証に誓い、宣言する」


 「誓約の証」が熱を帯びたのを感じ、服の外へ取り出すと、真ん中に埋め込まれた紫色の宝石が、光を放っていた。


「『ハル・フリュールの命に従い、一度だけ剣を振る』」


 その一言を最後に、証は強い光を発し、そして、何事もなかったかのように、いつも通りのペンダントに戻った。

 俺はこの現象の意味を知っている。


「おま…!これがどういう事かわかってんのか!?」

「これで信用して貰える?」

「いや、信用とか、そうゆう次元の問題じゃないだろ!」


 誓約の証への宣言。それは”女神への誓い”以上の強制力を持っている。

 例えるなら女神への誓いであれば、”命に従う”という点を、命令の聞こえない範囲――被誓約者から遠く離れる事で、間接的に反故するという抜け道がある。だけど、証への宣言に、抜け道は存在しない。”命に従う”事の出来る範囲――被誓約者の声が届かない状況を、被誓約者の許しがない限り、作り出す事すらできない。


「わかっているから、そうした。ハルが誓約の証を持っていて助かった」

「助かったって……ああ、ったく」


 道理で大切なものを掏られるわけだ。

 こいつには危機感というものが欠落している。


「……今までどうやって生きてきたんだか」

「今のは一体何だったんだ?」


 何が起こったのかわからない衛兵が、戸惑い顔で俺の方を見る。

 証は世界に数個しかないと聞いた。俺が証を持っているという事を知られれば、これ目当てで襲撃をくらう可能性がある。名の知れ渡っていない今は、隠しておきたい。

 幸いこの衛兵は首から、三日月のペンダントを下げている。女神の誓いの事は知っているはず…。


「誓いですよ。彼女……シエルは、その剣を俺の一命で一度だけ本気で振る。という事を誓ったんです。それの威力、言わずもながですよね」

「ああ、そういう事か……納得がいった」


 そこから、深堀されることは無かった。俺は誓約の証のせいで魔術的な嘘をつくことが出来ない。証への宣言は魔術の一部でもあるから、詳しくは聞かれたくなかったから、衛兵が信徒で助かった。


「宣言された以上、見捨てることはできない……。シエルはとりあえず、そこで待ってろ。衛兵さん。少し預かっててもらえますか?俺の雇い主に話してみます」

「ああ、わかった。牢屋には……罪人でもないし、入れるわけにもいかないか」


 シエルは、もげそうなほど、首を横に振った。どんだけ牢屋に入れられたくないんだよ。


「静かにまってろ」


 首を縦に振るシエルを背に、詰め所を出る。

 とりあえず、シエルはリーセルの管理下に置いておけばいい。あの宝具もあるし、戦力にはなるだろうから許しも出るはずだ。

 ったく……証に宣言できるのは天使の血族だけだってのに……しかも、宣言の仕方を知ってるのはそのごく一部――……ん?待てよ?


「――ライトブルーって言ってなかったか……?」


 シャンズの”ブラックモア”と違って、シエルは完全なる()だ。つまり――


「最大の戦力って言っても過言じゃねえ……!棚ぼたここに極まれり……ってな!」


 そのあと、俺はスキップで皆の待つ広場へと向かった。

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