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狐の皇子  作者: 葉月秋子


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「アルフ様、手綱を緩めて。

 上半身の力を抜いて、馬の動きに合わせるのです」


 教師の声に、アルフはますますいらだった。


 初心者用の、狭い馬場。

 先に行く兄の小馬(ポニー)に追いつこうと焦るために、力がうまく抜けない。


 馬は大好きなのだ。

 だから思い通りに動いてほしいのだ。

 それなのに、うまくいかない。


 兄の銀髪が、軽快な速歩を続ける小馬の背でリズミカルに揺れる。

 アルフは忌々し気に見つめた。

 乗馬、ダンス、社交術、呪術などの特別な授業の時だけは、顔を合わせなければならないのだ。


 一緒の授業を受けるのは、子供に興味のない父が、二人の美しい息子たちを人目にさらして得意がる時にだけは、協調性を求めるためだ。

 銀髪と黒髪の二人の王子が、一糸乱れぬ優雅な動きで皇太子に付き従う事。

 父が息子たちに望んだのは、それだけだった。


「馬はとても敏感な生き物でございます、アルフ様。

 どうか兄君のように優しく扱ってやってくださいませ。


 兄に比べられて、カッと頭に血が上った。

 踵に力が入り、小馬の腹を刺激する。

 小馬が嫌がって、横跳びに跳ねた。


 アルフは転げ落ちた。

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