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134 ヒシガツマ防衛戦〜作戦会議①

中央広場の中の一際大きなテント。その中には複数の狩人たちが集まっていた。

中央にはテーブルが置いてあって、作戦立案用の駒のようなものと周辺地図が置かれている。

俺達を呼び出したシタコ村長はもちろん、ヒシガツマ村の狩人と…お、アルカとコウチもいる。俺達がテントに入ってきたことに気が付いて、小さく手を振って近づいてきた。


「あとで詳しく話聞くね」


小声でアルカに囁かれた。

“豊穣の奏”も流石に戻ってきていた。時間的に砂漠から戻ってきたばかりか、ほんの少し休めたくらいだろうか。それでもあまり疲れを感じさせていない様子なのは、やはり若さか。


「さて、集まったようだね。じゃあ、今のヒシガツマ村の状況を説明しようか。この、危機的状況をね」


シタコ村長の話を静かに聞いていたこの場の全員から漏れた声により、ざわっという音がテント内に広がった。


「詳しくは、ギルドの調査員に説明してもらおうか」

「承ります」


丁寧な口調が机の下から聞こえてきた。


「え?」


思わずしゃがみ込んで机の下を覗き込むと、机の高さに身長が負けている小さな女性が丁寧な所作で一歩前に出ていた。その服装には見覚えがある。ギルドの制服だ。


「私どもは、このヒシガツマ村から要請を請け、調査用の気球にて周辺の目視調査を行いました。昨日の夕方に飛び、本日の夕方に帰還し、状況を村長に説明したところです」


流石にしゃがんだまま話を聞くのも失礼なので、立ち上がって話を聞くが、まるで机が喋っているようだ。

それはさておき、ギルドの気球は魔燃料を利用して上空を長期間飛行することができる代物だ。

飛行する獣などの襲撃にも負けない強度を誇る気球は個数が限られており、緊急時のみに要請を請けて飛行する。

俺達のメッツ村のときも事前に村に獣が迫っていることを確認できたのは気球のおかげだ。

そんな気球が、今回も飛んだ。その結果がこれから語られる。


「まず、村の周辺に獣の群れはありません。今回の獣の群れによる継続的な襲撃は収束したと言って良いでしょう」


おお、やっぱりもう獣は襲ってこないのか。防衛終了といったところか。

しかし、シタコ村長はこう言った。危機的状況だと。つまりこの報告には続きがある。


「襲撃は収束しましたが、最後の襲撃が見込まれます。最大規模の断慈鬼、そして、断慈鬼を追うようにして新種の獣がヒシガツマ村へ向かっていることを観測しました」


ゾクリと背筋を冷たいものが走った。


「新種の獣!?」


当然周りの狩人たちも驚きの声を上げる。新種の獣はここ数年見つかっていないからだ。

騒々しくなる室内に反して、俺と“四極”、ロンタウは神妙な顔つきで黙り込んでいた。


「師匠、あの…」

「なあギルドの。その新種の獣ってのはどんな特徴なんだ」


エフテルが俺に何か言おうとするのを遮って、ロンタウがギルドの観測員に訊ねる。

そうだ、新種が全てアイツではない。触手を生やした四つ足の獣、半透明の竜、それにロンタウの怪我の原因になった小さなセルのようなもの。

この短期間に様々な新種と思わしき獣や魔物が発見されている。

人間がこの世界全ての地域を踏破したわけではない。当然、技術の発展や行動範囲の拡大によって新たな獣が見つかることはある。

ギルドの観測員…の姿は相変わらず机に隠れて見えないが、はきはきとした声が返ってきた。


「真っ白でずんぐりとした見た目の四つ足獣です。体長は5mほどで、さらに長い尾を引きずって走る姿が印象的でした」


全く聞いたことがない。本当に新種の獣だ。

少しホッとした。

“双極”が敵わなかった獣が今このヒシガツマ村に来るとなれば、村を捨てて避難するしかなくなる。


「で、推定危険度は?」


またもロンタウが訊ねる。


「推定危険度5です。同じく危険度5の断慈鬼を追っているところから断慈鬼より脅威である存在と推測しました。しかしながら、危険度6の獣が持つ環境を変えてしまうような能力が観測されなかったこと、断慈鬼を仕留め切れていないことから、推定危険度は5とギルドでは判断します」

「妥当だな…」


俺は呟いた。すると、さらに間髪入れず鋭い声が机の向こうから響いた。


「ただし、新種であり、生態が分からないことから、2級以上の狩人のみが討伐可能な獣と一時的に設定します」


…それも妥当だな。

しかしこの村で2級の狩人はロンタウしかいない。単独の2級と、複数人の3級。場合によっては後者の方が勝率が高い場合もあるが…。


「1つ提案していいか?」


ロンタウが手を挙げる。

彼女はこのヒシガツマ村の専属狩人だ。シタコ村長も口を挟まない。


「どうぞ」

「この村で2級はロンタウのみだが、1人で新種狩りはリスクが大きい。だからそこの奴らをサポートに連れていきたい。勿論、矢面に立たせるつもりはないが、万が一のときの回収要員にでもなる」


ロンタウが示したのは“四極”だった。指名された当人たちも困惑している。もちろん俺もだ。

一体ロンタウはどういう考えなのだろうか。

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