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8話 シンクロ

ルールはシンプル。

ババを持っている奴が負け。

そしてリンネ・カケルvsメザー・リザーの2対2。

先にチーム全員が上がれた方が勝ち。

順番は……メザー→リンネ→リザー→カケル。


いざババ抜き開始!!


それぞれにカードが配られていく。

そして各自同じ数字のペアを捨てた。


メザー7枚。リンネ8枚。リザー7枚。カケル5枚。

ババ持ちは……リンネだ。


緊迫な雰囲気になっていく。

するとメザーがフッと嘲笑した。


「本当にくだらないなぁ。ババ抜きなんて、ただの子供の遊びだろ?そんなもんで勝負を挑むとは…」


やれやれというような表情だ。

確かにこんな状況でババ抜きをするなんてあまりにもシュール過ぎる。

だが決めたことだ。

拒否権はない。


「さっさと引けよ。」


リンネが急かす。

それを聞き、メザーはカードを引いた。


メザー→リンネ


7か……よし揃った。

これで後6枚。


リンネの顔に焦りが増す。


ババ抜きなんて全然やった事ないよー…

しかもババ持ちだし…

いつもは何か作戦を練ってするけど、これはあまりにも簡単すぎて話にならない。


リンネ→リザー


カードを引く。

同じペアが揃い、リンネは残り6枚。


リザーが横目でリンネを観察する。

表情の変化を見逃さないように…


あの焦り具合…どうやらババはリンネの手元にあるな。

データ上リンネは何かしら策があるに違いない…

次にあのカケルという人間。

何を考えればババ抜きなんて言葉が出るんだ?

意図が分からない…

警戒しておこう…


リザー→カケル


カードを引く。

どうやら揃わなかったようだ。

リザー変わらず7枚。


カケルの番になった。


いや〜咄嗟にババ抜きって言ってしまった…

まあでも、他のカードゲームのルールなんて知らないし、いいか。

適当に引こう。


カケル→メザー


自身の命が関わっているのに余裕の表情。

メザーとリザーはとても困惑した。


カケルは揃って残り3枚。


1周目が終わる。

メザー5枚。リンネ6枚。リザー7枚。カケル3枚。

ババ持ちは変わらずリンネ。


「随分と余裕そうだね。カケル君。俺たちが勝ったら君食われるんだよ?」


「ああそうだ。…でも、俺にはリンネさんがいる!だから何故か負ける気がしないんだ!」


メザーは耐えられず、大笑いする。

こんなにも馬鹿な奴は初めてだからだ。

リザーもカケルの言葉を聞いて、すごく呆れた。

何の考えのないただの馬鹿だった。

それにすごく呆れた。


「そうかそれじゃあ…その選択後悔させてやるよ!」


メザーがリンネの方を向く。


「……は!?」


メザーは驚いた。

リンネがとんでもなく馬鹿なことに…。


「リンネ…何がしたいんだ?」


なんとリンネは手札を縦に並べて持っていたのだ。

普通横に並べて持つはずなのに、リンネはわざと縦に持っている。


メザーはリンネの意図を考える。

メザーの口からは笑いではなく、つまらないというため息が出た。


「リンネ確かにお前は何か企んでいる。

だがしかし、ババ抜きというゲームの中でそのような小細工は意味のない、時間の無駄だ。

考えていることが手に取るようにわかる。

縦に並べることで枚数を誤認させるつもりだろう?

本当にくだらない…」


リンネはすぐに手札を横に並べた。


「ああメザー、君の言う通り。どうやらバレてたね。…さあ引きな、もう小細工はないよ。」


リンネの諦めの表情を見て、メザーはニヤリと笑う。

完全にリンネ達が負ける雰囲気だ…


実のことを言うと、ガッカリしてんだよリンネ…

俺はリンネがどんな感じにイカサマしてくるのか楽しみにしてたんだ。

だけど…このゲームじゃイカサマの仕様がない、、

リンネ…恨むならババ抜きにしたあの人間を恨め。


メザー→リンネ


そっと引いたカードを見た。


なっ!?


目を見開いた。

メザーが引いたカードは……ババだ!

リンネが持っていたババ。

「有り得ない」この言葉がメザーの脳内に広がる。


どうやらメザー以外の二人は気づいていたようだ。


なるほど…縦から横に並べようとした瞬間、

6枚あったカードの中の一つを2枚に重ねて、6枚のカードを5枚に見せたわけか。

兄がババを引く確率を上げるために…

流石だリンネ…。


リザーの無表情が崩れ、ゾッとするような不気味な笑みに変わる。


リンネ→リザー


カードを引く。

また揃い、リンネこれで4枚。

順調に進めていく。

どうやらババという重みが無くなった為、気が楽になった。


リザー→カケル


ここでリザー初めて揃って残り5枚。

リザーも気を楽にする。


カケル→メザー


カケルのカードは2枚。

ここでペアが揃えば、確定で勝ち。

どうなる…。


「……これだ!」


パシっ!


………!!


「ハハハ!揃いましたよ!リンネさん!」


カケル勝ち確。

カード残り1枚。

メザー5枚。リンネ4枚。リザー5枚。カケル1枚。

ババ持ちはメザーだ。


メザーがテーブルを叩いた。


「クソッタレ!」


なんなんだ…?あの人間とんでもねぇ運しやがって…

クソが…こうなったら使うしかねぇな…


メザーはリザーの方を向く。

リザーは意図を理解して、頷いた。


リンネ…悪いがズルさせてもらうぜ!


思考共有魔法と神経接続魔法の基礎複合魔法!


シンクロ!!


基礎複合魔法『シンクロ』とは組みたい相手にお互いの体液を飲むことで、発動できる複合魔法の基礎だ。

互いの思考を共有でき、さらにペアを自身の体の一部と認識するため、隠れても、離れていても、決して見失うことのない「縛り」となる。

しかし、『シンクロ』は二人までだ。


俺がシンクロしているのはリザーではない。

外野にいる他の吸血鬼(ヴァンパイア)だ!


(聞こえるか?メザー)

(ああ十分に聞こえる。俺の手札的にどれを引けばいい?)

(そうだな、、一番右だ。)

(右って…俺から見て右?)

(そう、お前から見て右!)


メザー→リンネ


「よし!」


これで残り4枚だ。


---そして順番通りに進んでいく。


「はい!どうぞ!」

最後の一枚をリザーに渡し、カケルは上がった。

カケル上がり。

これでリンネ・カケルチーム一歩リード。


メザー4枚。リンネ4枚。リザー3枚。

ババ持ちはメザー。


外野と繋がり、手札が減っていく。

リンネも手札を減らしていく。


そしてここでリザーも『シンクロ』を発動。

外野の吸血鬼(ヴァンパイア)に繋がる。


さらにリザーが大胆に仕掛けた。

それにはメザーでさえ驚く。


なっ!リザー…決めにいくのか…

抜け目がないな!


わざとメザーからババを取った。

これでリザーの手持ちにババがいく。

着々と進める。


メザー2枚。リンネ2枚。リザー3枚。

ババ持ちはリザー。


メザー→リンネ


メザーがここで揃い、メザー1枚。

勝ちが確定した。


リンネの表情がだんだんと曇る。

どうやらやっとイカサマに気付いたようだ。

しかし、、ここでリンネの運の無さが勝利を封じる。


「あっ……」


リンネ→リザー


リンネは…ババを引いてしまった。

これにより、完全に負けが確定した。


リザー→メザー


メザーは上がり。

リザーの手札は残り1枚となる。


リンネ2枚。リザー1枚。


順番通りに行く為……リンネはリザーの手札を引くことになる。

つまり負け…。


リンネとカケルの旅はここで終了。


リンネの手が震える。

自身の勝手のせいで、カケルが死ぬ…

こんなことになるなんて思ってもみなかった…

カケル自身も、、今起きている状況に理解が追いつかない…。

今から自分は死ぬ。

身体の中から恐怖が増幅している。


「リ、リンネさん……」


「………」


声すら出ない。

すぐにカケルは逃げようとするが、他の吸血鬼(ヴァンパイア)に押さえつけられてしまう。


「どうした!どこに逃げる気だ!?」


「リンネさん…!!」


必死にリンネの名を呼ぶ。

リンネは天を見上げ、ゆっくりとため息をついた。


「………あーあ…失敗か〜」

















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