6話 価値
あの日から3日経った。
カケルはずっと訓練場で観察をしている。
そんなわけなので、リンネは銭湯に行こうと誘った。
もちろんOKをもらう。
「久しぶりの風呂…極楽極楽〜。」
カケルは温泉に浸かりながら、リラックスしていた。
露天風呂な訳で、清々しいくらい蒼い空を眺めている。
すると、奥からタオルを巻いたリンネが走ってきた。
「ひゃっほ〜!」
身体に巻いたタオルを脱ぎ捨て、温泉にダイブする。
バッシャーン!!
カケルの顔にかかった。
「なんで…混浴にしたんですか…?」
「いや〜!混浴の方が空いてたからさ〜?ほら、私たち嫌われ者じゃん?だからできるだけ、人との接触は避けていこうと…」
……まあ、確かに…俺が一人で男湯入ったら絶対に殴られそう…
すると、リンネがニヤニヤしながらこっちを見つめてきた。
「なんですか?」
「どう?初めて見た女性の裸は!?」
勝手に初めてと決めつけるな。
まあほんとに初めてだけど…
湯気のせいで、大事な所が見えない……
「…やっぱりリンネさん…子供っぽい身体ですね。」
ガーン!
激しく落ち込むリンネ。
誰よりも長く生きているのに…
誰よりも大人なのに…
「てか!リンネさん、本当のこと言ってくださいよ……なんか話あるんでしょ?」
どうやら、お見通しのようだ。
「はぁ…まさかバレていたとは。
そうだね…伝えなくちゃいけないことはあるよ。」
カケルは唾を飲み込み、集中する。
これまで通りの雰囲気ではないからだ。
「標的を見つけたよ…。
魔王幹部の一人、吸血鬼一族のヴェルーダ。」
吸血鬼…!
人の血を吸う魔物!
「奴はアンデットだからね。
太陽の光に弱い地下に住んでいる……そして昔私はそこに行った!」
「な、何をしに!?」
「ギャンブルさ!!
そう…ヴェルーダがいるのはここから西南方面にある魔物の集落の地下のギャンブル店!」
どこからツッコむべきか…
この人…一回魔物とギャンブルしたってことなのか?
流石にそこまで終わってはいないと…思いたい。
「なるほど…つまり、俺に吸血鬼対策をしろと…?」
リンネは、カケルに近づく。
肌が密着する。
「な、なんですか!?」
「…ハハハハ!対策してほしいけど、魔力が無いんじゃどうする事も出来ないね。
しかも、私自身も攻撃魔法とか苦手だから結構ピンチなんだよね〜」
「じゃあどうするんですか?」
「……当日教える。」
当日って……
最近リンネさん、こんなことが多いな。
何か隠してる感じがする…。
だけどそんなことどうでもいい。
一刻も早く強くならないといけない。
カケルの目つきが鋭くなる。
それを見て、リンネは立ち上がり、温泉から出た。
すると、カケルがリンネに言う。
「リンネさん…一つだけいいですか?」
リンネはゆっくりと振り返る。
「俺…転移魔法以外と好きです!
人の価値に値段を付けれる…そんな馬鹿げたことが出来る魔法、俺はすごく好きです!」
目を輝かせ、大きな声で言う。
リンネはため息を吐いた。
たく、なんの告白だよ…
……人の価値に値段を付けれるねぇ…
「不可能を可能にすることができる魔法…楽しみにしてます。」
「ハハ!やかまし!」
二人とも笑顔を浮かべ、銭湯から出ようとする。
リンネがハッと何かを思い出した。
「カケル!私明日から一週間いなくなるけど、頑張ってね!食費だけ渡しておくから。」
「おっけ〜で〜す!」
それだけ言い残し、リンネは去っていった。
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それからというもの、カケルは観察だけでなく、想像したり、実際に剣を持って闘ったりもした。
意外にリンネとの接触が少なかった。
そして月日が経ち、決戦前日。
ついに…行くのか…。
魔王幹部ヴェルーダの所に…!
「リンネさん!絶対勝ちましょう!」
「はいはい、」
ピーン。
銅貨を一枚親指で弾き、キャッチする。
冷静で落ち着いていた。
大人の余裕ってやつなのか?
「あんまり、会ってませんけど俺なりに強くなりましたよ!」
「ふふ、期待してるよ!」
そうして、二人はルナフィリア王国を出て西南方向へと歩いた。




