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2話 仲間

俺の名前は北柳(きたやなぎ)カケル、19歳。

ゲームだけが得意なただの平凡な人間。

そんな俺の目の前に……エルフの美少女が引っ付いているんだが!?


「あの〜えーと。どういう状況…?」


リンネはハッと気づき、すぐに離れた。

少し赤面しており、髪を整える。

そしていつものように、堂々と立ちニンマリと笑う。


「ようこそ!異世界へ!!」


……は…?

理解が追いつかない。


「……って言ってもよくわかんないか。」


頭をかき、へへ…とどう説明したらいいのか困っていた。


「んーと…まずは、ある物語について話そうか。」


リンネはまずカケルに、100年前の勇者について、そしてなぜカケルがこの世界に呼ばれたのか話した。


全ての話を聞き、カケルは口を大きく開け、唖然とする。

その反応を見て、リンネは照れ臭そうに微笑む。


「つまり、新たな勇者を呼び、魔王を倒して、伝説を創り、連中共を見返すってこと?」


「うん」と返事し、目を輝かせた。

ゆっくりとリンネの側に近寄る。

そして大きな声で叫んだ。


「いや…!ちょ…えーー!!?こっちの都合も考えてくださいよ!!」


リンネの肩を掴み、前後に揺さぶる。


「ごめん!ごめん!でも仕方ないの!勇者様♡!」


「勇者様♡じゃねぇよ!…てか、まじで俺が勇者すんの…?」


コクリと頷く。

カケルは膝をつき、落ち込んだ。


「あと少しで…あと少しで…」


……?

不思議そうにリンネは首を傾げた。


「勝てたんですよ…?優勝できたんですよ?」


どうやら、eスポーツの大会に出ていたらしい。

うるうると瞳に水が溜まっている。


「…元気出せよ、、」


リンネは優しく手を差し伸べた。

その瞳は、とても純粋な色で自分(カケル)だけに送ったものだと理解する。

悔しそうな表情をするが、すぐにその手を取り立ち上がる。


「くそっ……分かりましたよ!やればいいんでしょ!?やれば…」


ぱあ!っと嬉しさが込み上げ、リンネは足をばたつかせる。

すぐにカケルを連れ居酒屋へと足を運んだ。


「今日は新勇者がこの世界に来たという記念日な訳で…奮発しちゃいます!沢山食べな!」


「いただきます!」


目の前に置かれている数多の刺身。

箸を持ち、刺身を掴んで醤油につけた。

ゆっくりと口に運ぶ。


「うまっ!やっぱ刺身って最高だー!」


「でしょ!でしょ!」


リンネも器用に箸を使い、エールをグビッと飲む。

二人ともすごいペースで食べた。


「私はリンネ!これからよろしくね!」


「俺は北柳カケル。…リンネ…さんは家柄とかないんですか?すみません失礼ですよね。」


「いいよいいよ。まあ、物心つく前にひとりぼっちだったらしいし、多分捨てられたとかでしょ。」


………ひとりぼっちのエルフか…

…よし!

何かを決心する。


「よーし!"俺達"が魔王倒して今まで馬鹿にしてきた奴らにギャフンと言わせましょう!」


「おっ!やる気出てきたねぇ!」


今夜は今までと違い、明るい夜らしい。


---

カケルは酔っ払ったリンネに肩を貸し、店を出た。


「まだまだ〜飲める〜」


リンネさん…どんだけ飲んだんだよ…

てか、ここって地下街だよな…

ヤバイ奴らに絡まれる前に早く帰ろう。


「リンネさん家は?」


「……ない〜」


は!?

まさかの野宿!?

カケルが驚いていると、だんだんとリンネの力が抜けていった。

完全に酔い潰れた…


「もう本当に…!」


仕方なくおんぶし、人気のない暗闇へと移動した。

地下街は夜でも朝でも賑やかでどこに行っても人の声が聞こえる。


もしかして…リンネさんは地上の連中に差別されるから地下街に逃げたんじゃなくて…

本当はパーティ全員を失ってしまったその孤独感を癒す為に、地下街に来たのでは…。


リンネをベンチに下ろし、自分もベンチに座った。

酔い潰れたリンネを横目に見て、微笑む。


「カケル〜…明日は地上に行ってみよう〜」


「…!はは…リンネさん、ギルドとやらに連れてってくださいよー!楽しみにしてるんですから!」


リンネは声を聞いて安心するかのように、眠りについた。

カケルは足を組み、天を仰ぐ。


俺が勇者か〜。

しかも仲間にエルフがいる。


「……勝ったな。」


不意にリンネを見てみると…

なんとリンネの服が乱れていた。

へそを出し、スカートの中が見えそうになっている。

初めての事態にカケルは戸惑いを見せた。


やばーい!この状況…どうすればいいんだー!

落ち着け俺…一旦深呼吸しよう…。

まずは、様子見だ!

乱れた服を見つめる…

マジマジと堂々と見つめた。


……は!やばいつい、見入っていた!

俺がやるのか…やっちゃうのか?

いやただ乱れていたのを整えるだけだし、それに悪気があってやった訳ではない。

うんうん…でもこういうのってやってる最中に起きるんだよねぇ!!


言っとくけど…服を整えるだけね?別にやらしい事なんかしないからね。

ん?……自分の服を脱いで、被せればいいって?

…………。


カケルはゆっくりとリンネの服へと手を伸ばし、掴んだ。

そして元の位置へと戻そうとする。


よし…あと少しで…


その瞬間、カケルの手首を誰かが掴んだ。

びっくりとしたカケルは、すぐに服を離すが、身体が固まってしまう。

そして、掴んだ手を辿り、顔を上げる。


「お兄さん、ちょっといいかな?」


男性二人組が現れた。

片方は剣を構え、もう片方は杖を持っている。


「私達国家保安隊の者でね。お兄さん、今その子の服脱がそうとしてたよね?」


「いや、俺は見えそうになってたから…。」


すると、保安隊はある事に気付き、コソコソと耳打ちをした。


「おい、コイツ…黒髪だ、」

「確か黒髪は、見つけ次第すぐに連行だぞ…」

「捕えるか。」


掴む力をさらに強め、無理矢理引っ張る。

カケルはすぐに抵抗するも、力で勝てるわけなく、地面に押さえつけられた。


「だから違うって!」


「悪あがきはよせ!この害虫が!!」


拘束魔法(ロック)


光の鎖が現れ、カケルの身体を縛る。

口元も縛られ、声が出ない。

保安隊はカケルを引っ張り、地上に繋がる階段へと進んだ。

それを知らずに、リンネはぐうすかといびきをかき、満面の笑みを浮かべて寝ていた。


リンネさーん!!助けてくれー!!


カケルの助けの声もリンネに届く訳なく、カケルは連行された。





















次回地上編。


キャラクター紹介。

北柳カケル。大学1年 19歳。

特徴 黒髪、突然転移された為、上下黒の部屋着。




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