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拉致問題  作者: ゆるうる
Case 3:学園
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測定

翌朝。スマホの通知音で目が覚めた。

時刻は6時30分。こんな時間に通知が来るものなのか。


横で寝ているイグナを起こさないようにスマホを開き、メッセージの欄を見る。

『今日はお前だけ能力測定を行う、遅れるなよ』

教師であるワンからのメッセージだった。なぜこんな時間に連絡をするのかは疑問。

はい、とだけ返しておく。


スマホを見て意識が覚醒したのか、もう寝れなそうなので着替えだけ済ませて起きておくことにした。

アプリでランキングの欄を再度見る。

ソアヒート・プレッシュ......

アプリでの容姿を見るに、共通しているのは赤髪...と目元。

イグナのことを知っている可能性はゼロじゃない...かもしれない。

寝顔を見る。


「......兄妹、とか」

そこまで考えて、自分で否定した。

すぐ繋がりすぎるか。ちょっと都合が良すぎるかもしれない。

そんなことを考えているとちょうど1時間経ったようで、カナリヤードが部屋に入ってくる。

「学校の時間です」

「......珍しく、早起きですね」


朝食は食べず、そのまま研究所の外へ。

今日も車で行くらしい。

カナリヤードは助手席に座り、景色を眺めている。


「なぁ、これから毎日自分が朝運転するのか?」

「......そうです。帰りは私の能力で帰れますが」


「私はチョークでマーキングした位置間を転移させられますが、片方のチョークの線が薄かったり、消えかかっていたりすると転移ができません」

「まぁ、あなた自身にマークをしても可能なのですが」

なるほど、それがカナリヤードが持つ能力の原理というわけか。

「......自分を気絶させたときはどうやったんだ」

「転移で衝撃波を発生させて、それを首に当てただけです」

なるほどわからん。


「それではいってらっしゃいませ」

正門の前...ではなく、人があまり立ち入らない場所でそう言うと、研究所に戻った。

靴を履き替え、自身のクラスである1組に向かう。


「......あいつだ」

能技劇場(カーニバル)で暴れてた」

「マジで1組入りしたんだ」

「でも学園のランキング載ってなくね?」

なにやら多学年の生徒にもジロジロ見られている気がするが、気にせず行くとしよう。

クラスに入り、席に座る。

先日と同じように、基本的にはタブレットで授業を受けるので手ぶらが普通のようだ。


「おはよう、手腕くん」

「......おはよう」

隣に座る霧生知那に挨拶される。


「知那おはよー!元気ー?」

「......クロウリーくん、名前で呼ぶのはやめてと言ってるでしょう」


ジェイド・クロウリー、後方席に座る金髪の男子生徒。

学園のランキングではたしか、7位...だったか。優秀ではあるらしい。

「編入生、手腕、だっけ、おはよ!」

「......あぁ、おはよう」

挨拶をすると、ジェイド・クロウリーは自分の席に戻っていった。


「......彼、私のことが好きなのよ。わかりやすいわよね」

「まあ見てればわかるな」

「おまけにアメリカ人。なんだか心理的な距離で戸惑ってしまうことがあるわ」

やはりアメリカ人か。日本人以外も拉致しているのが考えられる。


...同時に複数の視線を感じた。

昨日より露骨だった。

噂になっているのだろう。

ランキング外の編入生。

カーニバルの怪物。

研究所直属。

そんな単語が、小さく聞こえた気がした。


「うぃーっす。ホームルームやるぞー」

「......ぶどうちゃんだけいないな」

周りを見渡すと、前方に座っているであろう紫琶葡萄の姿がない。


「まあいい、今日の予定だが──」

そう言うと、ワンは授業や注意すべきことなどを淡々と述べていった。


「今年の戦闘祭(せんとうさい)だが」

「来月、9月に実施されることになった。確認しとけ」


「手腕、お前は別室」

名指しされ、別室に行くことになった。


「もう特別扱い?」

「流石怪物〜」

クラスメイトからそんな声が聞こえてくる。

「......みんなうるさいわよ」


* * * * * *


ワンとスタジアムへ向かう途中。

視線を感じる。

廊下の天井付近。

換気口の上。

紫色の何かが一瞬だけ見えた気がした。


「......気のせいか」

スタジアムに来ると、ワンは何かの器具やら道具を持ってきた。

「よかったな、お前の今日の授業は全部測定で終わるかもしれないぞ」

「それは良いことなのか...?」

「まあ、取り返しはつく」


そう言うと、動く壁のような道具を前に持ってきた。

「この壁に向かって自身の能力を飛ばすんだ」

「それで能力の強さとエネルギーの量を同時に測れる」


銃の形を作る。

「バンッ!」

──ドゴオオオオン!

この壁はテストのための防御用のようだが、それを吹き飛ばした。


「じゃ、次。身体能力」

「......?」

「走れ」

「雑だな」

スタート音。

踏み込んだ瞬間。

スタジアムの床が砕けた。


「うお、加減しろ!」

「いや知らん」

記録。測定不能。


「次、頭脳」

タブレットが渡される。これもスタジアムで受けるらしい。

表示されたのは特定の教科による問題...ではなく。

『敵能力者3名に包囲された場合、最も生存率が高い選択を選べ』

『研究施設が暴走した際、被害を最小限に抑える方法を答えよ』

など、妙に実践的な問題ばかりだった。


「......学校かここ?」

「学校ではあるぞ」


「最後、エネルギー総量」

時刻はお昼過ぎ。ようやく最後の測定のようだ。

総量...?さっき測ったものとは違うらしい。

体を機械に預ける。

機械が青白く点滅した。

数値が上昇。止まらない。


「......いや、まだ上がるのか」

ワンが眉をひそめる。

警告音。

測定器の画面に、ERRORの文字が浮かんだ。


* * * * * *


観客席上段。

「わー......」

その様子を見ていた紫琶葡萄は、楽しそうに笑っていた。

「やっぱ化け物じゃないっすか」


「ね」

右耳から知らない声。


「え」

「誰っすか!?」

その場を瞬時に離れる。

スタジアムの全体を見てもワンと手腕楹咤を除いて誰もいない。

だが、速攻の刻印を持つ彼女は見逃さなかった。


「白い髪...?」

一瞬だが、影からそんなものが見えた気がした。

更新遅れて申し訳ありません...私生活に加えてストーリー作るのに結構苦労しております。。。

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