14.バリアと卵蛇
「最初からこうすればよかったのに。」
「態々危険なことする必要ないってキョウが降りた時に気づいたにゃ」
「本当にベルト置いてってよかった…………あのままいってたら間違いなく死んでた。」
あの後ハーピィを倒してイヴに乗ったジンとアイに合流した。
荷物を軽くするために置いていったテイムモンスターに助けられた。
気づいたことがある。
「これさ、空の結界って魔物避けだよね?」
「あー、なるほどな。あり得る。」
「空よりも周りに張るべきだったにゃ。」
「多分……張ってるんじゃないかな?私まだ大地の里でモンスター召喚したことないよね?」
「卵蛇はー?」
「あれはもう知らん。卵蛇は意味不明なことが結構あるから。」
グラスビレッジで卵蛇の魔力の色を見ようとした時に『閲覧権限がありません』って出たこと。
他の人のモンスターをテイムすることはできないのに卵蛇はテイムできた。
あの時に戦っていたのはテイマー村の人だったし、卵蛇自体もめちゃくちゃに暴れ回っていたからてっきりテイムモンスターかと思ったけどそれも違うのかもしれない。
結構長い間卵蛇と一緒にいるけど全然わからない。
サウスウェストにいるときに本を読んで知ったことだけど卵蛇はすごい強い。
例えば卵蛇が使える魔法の『氷蝕』。
魔法の序列の中では最上位に位置する漢字二文字の魔法だ。
あ、マル君が使ってるやつや私が使ってるのはまた別で、オリジナル魔法ってやつ。
精霊魔法は魔導書が必要に応じてアドリブで作り出すオリジナル魔法。
マル君が使う『創造魔法:エメラルド』はマル君に一番合った形の魔法を作り出すもの。
普通の旅人は冒険者街である南東に行って魔法を学んだ後に旅に出るから、順を追って魔法を知っていく。
だけど急ピッチで旅に出て右も左もわからないまま敵を倒していったから初級の魔法しか使えないまま途中まで進んだマル君。
ここから基礎を教えるのは難しいし面倒くさいと思ったフラッシュ――一応魔法を専門としている――が現代の知識を生かそうとするマル君に自分で魔法を作るのはどうかと提案したのだ。
そんなこんなでできた魔法1号が『創造魔法:エメラルド クリアウィンド』。
本人が言うに、イメージしたのは某ロボット掃除機。
埃をもってきてくれる機能はつけられなかったって悔しがってた気がする。
エメラルドは発動句らしい。
瞳の色から取ったって言ってたけど安直だなーと思った。(お前が言うにゃbyマルト)
サウスウェストで領主を捕まえる時に『貫』っていう魔法も使ったらしいけどそれについては実際に見てないからわからん。
やばい、脱線しすぎ。
「えーと、なんの話してたっけ?」
「卵蛇ー…………あーじょーくうの結界のことー?」
「そうだったな。アイは記憶力だけはいいからな」
「ものすごい失礼発言ー」
「というか記憶力も言うてではにゃ?」
こめかみにアイアンクローをしてやろうという勢いのアイに、心から別のドラゴンに乗せてよかったと思う。
こんなところで喧嘩されちゃ、こっちもたまらん。
あ、降りた後?もうご自由にどうぞ。
私は知らない。別に降りたあとなら理不尽に落とし穴に引っかかって落ちるみたいなこともないと信じてる。
あれ、ついさっき足を踏み外したような……?
「じゃあフラッシュのところのやつはどうなるの?白ローブに壊された魔物絶対殺すバリアあったじゃん。」
「あーね。魔物が入ると塩かけられたナメクジみたいになるやつにゃ。」
「いや魔物入れたことないでしょ」
「それはそうにゃ。」
「適当すぎるでしょー」
「それはわからんけどただのバリアの方はキノコ聖女様のやつじゃねえか?」
真顔でそんなことを言うから3人全員が吹き出す。
順調に崖を滑り降りてたイヴとヌーンも一瞬急ブレーキをかける。
吹き出さないように堪えてるのが肩が少し震えているのがかわいい。
ガタンと少し前屈みになるが、気にせずもう一回走り出す。
そんなこんなで雑談しているうちに崖下についたようだ。
とてつもなく楽だった……
「さっきの仮説がただしかったらここからは魔物が出てくるぜ」
「まあ大丈夫。私たちは強くなったから。」
「それもそーだねー。本当に何ヶ月か前は普通の6年生だったのかなー?」
「信じられないけどこれが真実ってやつよにゃ。世の中なんてそんなもんにゃ」
「マル君が世界をを語るのなんと言うか…………不快?」
「どストレート悪口にゃ」
「まあどんな種類の魔物が出てくるかわかんないけど臨機応変に行こうぜ」
「りょうかーい、ハーピィはまかせろー」
「人型をぐちゃぐちゃにできるのすごいわ。倫理観の消失だよね」
「アイと俺はあんまり活躍できないからな。ここらへんで手柄をあげて見直してもらうぜ!」
「おお?やる気だね。じゃあうちらもやりますか!」
「目的地はどこにゃ?」
「次の山!私たちが越えるべき壁である!」
「おお、かっこいい風のセリフだぜ」
「実際にかっこいいから!」
「早く行くにゃ!フカフカベッドが恋しいにゃ!」




