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30.壊れたコアと主従の絆

 私はイヴの上に立ち、勢いをつけて飛び降りた!!

 真横を雷が通り抜ける。雷が降らないところを選んで落下し始めたから当たりはしないはず!

 周囲の雷の魔力をかき集めて私の魔力と中和させる。

 私の魔力を全部込めてもあの量の魔物を殲滅することはできないし、魔力が空っぽになることの恐ろしさはよく知ってるから自分の魔力は意識を保ってられるギリギリくらいは残してあとは周りの雷を借りる。

 まあ返すことはできないけどね!

 そんなこと考えてるうちに魔力が私の手元に集った。

 

「さあ、食べちゃっていいよ!『精霊魔法:全 星の軌跡』」


 放った瞬間に命が抜け落ちる(?)みたいな不思議な感覚に襲われる。

 しかし、魔力に見合った働きをしてくれるこの魔法はこの場の生きとし生けるものに対して私の手から現れた魔力の流星群で殲滅していく。

 私の背後にあるであろう魔力のポータルが魔物から出た魂のようなものを咀嚼するゴリッゴリっという音もしっかり確認した。

 

 ………全部とは言えないけど、問題なくコアにたどり着けるほどの空きはできた。

 コアの姿は発光する紫で、しきりに電気を放っている。

 ここ周辺の雷を何倍にも凝縮したような濃い魔力を感じて思わず口元を抑えたくなる。

 吐き気がする……これが魔力不足のものなのかマル君が言ってた魔力酔いってやつなのかはわからない。

 だけど、とりあえずできたチャンスを無駄にしないように。

 腰のベルトから剣を引き抜く。

 ずっと銘がつけられていないこの名無し剣(ノーネーム)とも結構長い付き合いだ。

 折れずにどんな時でも私の腰にいてくれるこの剣は私にとって大切な存在になっている。

 だから、このコアも壊せるはずなんだ。相棒なんだから、私と力を合わせれば。

 剣を振り上げる。真上から突き刺すように衝撃を与えるんだ。

 力が入るかはわからないけど、気合で壊して見せる。


「ドラゴンなめんなぁぁぁぁっぁぁぁぁあ!!!!」


 ギャリっという不思議な音とともにコアに剣が突き刺さる。

 もとから発光していたコアの輝きが増す。こういう時は片目なくてよかったと思うんだ。

 目は閉じない。力を籠め続ける。ヒビが増えて出てくる光も増える。

 ガラスが割れていくような感覚とともに完全にヒビしかなくなったコアはとうとう砕け散った。


「やった、やっ、」


 体がコアという支えを失う。

 剣をつかむ握力が消える前に慌てて鞘に戻す。

 チン、という涼やかな音が聞こえて安心しようとするが安心できなかった。

 まだ、私このままだと落下死する。

 ああ、グリモアにはあんなに強気に出たけどやっぱり心配だ。怖くはない。


「助けてくれるかなぁ……」


 ステータスを最後に開いたとき、覚えてるだろうか。

 私もグリモアに言われる前まで完ッ全に忘れていた。

 「主従の絆」。

 ちょくちょく会話に出てきたこれがスキルとしてあったのだ。

 最後にそれを使ったときはエリの研究所の裏にとらえられたグリモアと通信して魔力を放ってもらい居場所を知ることができた。

 そのとき使った主従の絆はLv.2。じゃあそれまで以上に旅を重ね、テイムモンスターと絆を深め続けた今はどうだろうか。

 ワープや召喚ぐらいならできるんじゃないだろうか。

 そういう考えに至った私とグリモアの話がさっきの会話だ。

 正直なところ打開策が別にあったらこんなギャンブルにベットしないんだけどね。

 だけど、しばらく会ってないし会いたいとも思ってたし。

 呼んだらきっと来てくれる。あの人と私は不思議な絆で結ばれてるような気がするのだ。


 

「そう思わない?君だったら、助けてくれるって信じてるよ。『フラッシュ』!!」

 


「ぼくを呼ぶとは、お目が高いですね。『キョウ』。」



 自由落下していたからだが抱えられて安定する。

 久しぶりだなぁ、パーティーを抜け出すときもこうやって抱えられて飛んだ気がする。

 ほんと。きみは頼りになるよね。

 来てくれてありがとう。フラッシュ。

 それだけ思ったとき、私は意識を手放した。


ーーーーーーーーーーーsideフラッシュ


 ほんっとに、心臓に悪い人だ。

 キョウたちが西の住処を去り、結構な日にちが経った。

 ぼくは共にグラスビレッジの守護者をすることとなったリフェルと一緒に街の防衛システムを整えたり、ぼくが住んでいた場所においてあった母が殺してしまった研究員の遺品を整備したりしてある程度は忙しく暮らしていた。

 だけど、キョウたちがいてドタバタしていた時間が一番楽しかったなと感じたし忙しいのに時間が過ぎるのがすごくゆっくりに感じた。

 一か月以上たった時にぼくと契約したアイに魔力を貸す頻度が急に多くなってまた旅に出たんだろうなって思ったけどぼくらは西の住処から応援するしかない。

 無力だ。

 そんなことを思っていた時に強い強い思念を感じた。思念というか魔力。

 清涼な水のように透き通った水色。忘れるはずもない。キョウの魔力。

『君だったら、助けてくれるって信じてるよ。』

 って声が聞こえた。ピンチなんだ。助けないと。それだけの一心でキョウの魔力とつながった。

 そしたら視界が変わった。真っ黒空間の中に放り出されて意味も分からなかったけど、ただキョウが落ちて行ってるということだけはわかった。

 追いつくのは簡単で腕の中に簡単に収まった彼女は目を閉じた。

 きっと、目を覚ましてくれるとは信じてるけど。だけどもう、ぼくの世界から大切なものを奪わないでください。

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