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24.反転と降車

 車両が頂点に到達し、虚空へと踏み出す。

 目の前に広がるのは昨日だったかに見たばかりの果てしなき純白の雲海。

 私の絶叫は何重にもこだまして消えていった。

 ジェットコースター苦手なんだよお……、あのドキドキ感と内臓が浮き上がる感じがもう、想像すらしたくないよね。

 好きな人は好きなんだろうけどさぁ、うちのパーティは生憎高所恐怖症というか落下恐怖症というかそういうのが多すぎるから。

 ほら現時点でジンが死にかけじゃん!

 後ろは見えないけどもうマル君が私の肩に手を置いてる時点でパニックが起きてることは間違いなさすぎる。

 まあそんな中で横にいるリブロちゃんはなんとなくわくわく感が出てるんですけど、これあなたの主さんあなたが喜ぶのが見たくてこういう設計にしたとかじゃないの?

 さっき『あたしの主は遊び心ばっかりなんだから』とか言ってたけどもうめっちゃ楽しんでますね!

 かわいい!!許す!!

 まあそれでも怖いよおおおおおお。


「ね、ねえリブロちゃん今から止まるとか無理ですか!!」

「無理よほら今からなんだから覚悟決めて重力に身を任せないさい!」

「ブレーキにゃ、キョウ!キョウウウウウウウ助けてにゃああああああ」


 ヒュンッ!!!!!


 スピードが一気に上がり、坂が急にというかこれ直角ではありませんこと?

 鼓膜を風の音が切り裂き——比喩だよ!!!ガチじゃないから!!!——、間違いなく時速百キロは超える速度で雲の中に飛び込む。

 視界が真っ白に染まり、レールも見えないからどこに向かってるかもどこを向いてるかもわからない。


「や、もうやだぁ。キョウ、帰ろうぜ」

「帰りたいけどどこに帰るの!!ここを抜けないといけない場所が、ジン私も変えるやめたい怖い」


 内臓が口からでるんじゃないか、直角がまた九十度回転して頭が下になる。


「な、なんでここで止まるのにゃ、」

「は、あははははははは!ジン魂抜けた顔してるー!超笑えるんだけどー」

「昨日の笑い上戸みたいになってるんだけど」

「リブロちゃん冷静すぎるでしょ!なになになに待ってなんでこんな回転すんの?!まっすぐ行こうよ!!」

「ほら、落ち着いて!雲海地帯抜けるわよ!!」


 その声を聴いて風圧に負けて閉じていた目を開ける。

 そして次の時、白かった視界が一気に晴れた。

 雲に覆われているのに日の光が差し込んでいるような明るさ。

 昨日も落下時に見たし、今日も昨日も全然ゆっくり見れるような状況じゃない。

 だけど、はっきり認識できたことがある。

 感じるのだ、私たちが求めるものはあの中心の楼閣。

 果てしなくそびえたち、私たちを見下ろすあそこにある。

 あそこに行ったら、私の瞳も……。


「うおっ、なんか壮観だなぁぁぁぁあああ?!」

「こんな状況じゃなければ観光したいところだにゃあああああああああ!」

「ほらもうすぐ終わっちゃうわよ、ちゃんとこの楽しさを痛感しなさい!!」


 ぐるぐるジェットコースターが終わったらまた急降下。

 え、なんかレール見えるようになってわかったんだけど、次の少し上がるところレール途切れてない??

 あああああ、考えんのやめたほうがいいなこれは。

 車両が踏み切る。

 

「ごわいごわいごわいごわい」

「飛んでる!!!!飛んでるぅぅぅ!」

「にゃ、いい人生だったにゃ」

「あは、あはああああは、ゲホッアハハハ」

「やだもうこの人たち壊れてるんですけど。」


 まあ問題なく着地した後は洞窟に入って緩やかにらせん状に降りて行った。

 全員(リブロちゃんを除く)バタンキュー状態で話せることもないというか私自体死んでたからそこの部分は割愛。


「ほら、しっかりしなさいよ。暴走コア鎮圧してくれるんでしょ?」

「まあうんそうだよね、しないとねハハハ」

「もう嫌にゃあ、安全なところで一晩というかもうジェットコースターのらなくていいところで過ごしたいにゃ」

「マジで、三半規管がイヴで鍛えられてなかったら死んでたぜ」

「…………ハハハハハー」

「紫…………まだ朝の薬残ってるわよ?」

「謹んでコア鎮圧行かせてもらいますー」

「ちょっろいにゃ」

「黙れくそ猫ー」

「こら!女の子がくそとか言っちゃいけません!」

「キョウはぜひ自分の発言を見直してから言ってほしいところ」

「別に暴言は……この話やめない?」

「はいはい!切り替えるわよ!」


 まじでリブロちゃんがおかんなんだが。

 だれだツンデレとかほざいたやつ、私たちがマトモじゃないから相対的に面倒見がいいしっかり者ちゃんになっちゃったじゃないか。

 私たちの(ツンデレおさげ美少女)を返せ!

 そこのマル君は一緒にすんなみたいな目で見ないの!

 ジンは共感してうなずいてるから合格で、アイはそれノリに乗ってるだけだよね?

 張本人は呆れた顔をってなんで私が思ってること全員わかるの?


「なんでっつっても口から全部出てるにゃ」

「え、うそ」

「虚言にゃ❤」

「殺すぞ」

「こらー!女の子が殺すとか言っちゃいけませんー!」

「さっき見たわよこの展開」

「切り替えができないやつら」

「先に進めないんだけどね、あっ、静かになったわね」

「君たちが静かになるまでに九分十一秒かかりました。」

「校長先生がよくいうやつやんー」

「謎に具体性がある数字がな。わざわざストップウォッチ使ってるやつのそれなんよ」

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