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19.塔と料理

 たどり着いたのは天を劈く細い塔。

 灰色で岩をそのまま積み上げた形のようなそれは煌竜が作ってくれたとリブロちゃんが説明してくれた。


「すぐ出発で大丈夫かしら?」

「休憩できるのー?」

「一応休憩室があるけど、見ていってもいいわよ。」

「どうする?」

「休憩したいにゃ……休憩室なら布団とかもあると思うにゃ」

「食料の補給もしたいよな。ハーピィ食べるのって結構ハートにくるから、」

「側から見たらカニバリストだよねー」

「栄養も絶対足りないにゃ」

「食べ物もベッドもあるわよ。一日くらい休んでから行けば?」

「そうしよ!ベッド、ベッド!」


 ゴツゴツとした岩の中に一つ嵌め込まれた木製の扉を引くと、玄関的なものが出てきた。

 しかし、靴を脱ぐところがなかったから靴を脱ぐ文化がなかったところがベースになってるのかもしれない。

 石塔は外から見た通りの狭さで、一階は玄関のみのようだ。

 お邪魔しますと小さくそれぞれが言って玄関を通る。

 そして正面にある急な螺旋階段を登る。

 これ、本当に狭いな……

 一つの階に一つの物しか入れられないのか……

 二階にリビング的なもの、三階にキッチン、みたいな調子だ。

 そして四階になってやっと部屋。

 五階は風呂とからしい。

 縦に長いけど結構しっかりした家だ。

 これがあったら便利そう。

 四階の部屋はデカいベッドが二つあるけど、それでほぼ埋められているから荷物を置いたら四人も立つスペースがない。

 しょうがないからベッドに座った。

 ………………。

 あれ、もしかしてこのベッドデカくないのか?

 四人でここで寝るの結構辛いと言うか私たちの年齢的にまずいと言うか……。


「この建物すごにゃ……外からの見た目だけどうにかすれば元の世界でも使えそうにゃ」

「ベッド……ダブル二台か。リブロ、使うか?」

「あたしは寝る時魔導書になるから。あんま気にしないでいいわよ。そちらのグリモアさんと仲良くしておくわ。」

「それでも結構狭いねー、どーするー?寝る所ー」

「四人で泊まることは想定してないのよ。というか、悩むことある?四人で詰めて寝るのはダメなのかしら?」

「まあ人間にも色々あるんですよ。」


 おお、グリモア。

 クローズをスルリと抜けてきたグリモアはパソコンから飛び出してキャッチする。

 久しぶりに人型みたなと思うのと同時に、人口密度が飽和してる……と感じた。


「四人くらいなら行けるか?」

「俺ら一応十八歳ではないのにゃ?」

「しゃーないだろ、何が悲しくてこんなに素晴らしいベッド諦めないと行けねぇんだよ。」


 そういって座ったベッドを撫でるジンの手に謎の色があって目を逸らす。

 わざわざ目を合わせにくるのやめろ!

 ニヤニヤすんな!


「はいはいにゃ、ご飯食べて早く休むにゃ」

「そーしよーそーしよー」

「…………中々に面倒な状況なのね」


 同情したような瞳で見てくるリブロちゃん大好き。

 ツンデレがマトモキャラになっていくこの状況で慰めてくれるの優しい。

 考えを放棄して二階のリビングにいく。

 キッチンスペースには私たち四人と魔導書二人は立てない。

 リビングで詰め詰めになりながらも座る。


「なあ、……料理できるやついんの?」

「まず食材すら怪しい状況にゃ」

「そんなことだろうと思ったわよ、料理はできないけど食材は心配しなくていいわ。言ってくれれば用意してくる」

「えじゃあー」

「今現在この世界にあるものだけでよろしくね」

「ぶー」

「こら文句言わないの。……そっか、外食くらいでしか料理って言える物食べれてないね」

「普段は干し肉とか魔物の肉炙ってとかだにゃ」

「結構パワフルな暮らししてるのね。」

「旅人なんてそんなもんだよー」

「じゃあマトモなやつは諦めて普通に肉焼いて塩かける感じにするか?」

「まあ凝った物作っても疲れるだけだもんね」


 ということでリブロちゃんが食材を用意してくれたとのことだから私が作ることになった。


「キョウが一番刃物慣れてるだろ?」

「いや剣と包丁違うから」

「肉、用意してきたわよ」

「上から戻ってきたと思ったら何持ってんの?牛みたいだけどそれ魔物だよね?」

「牛って何?」

「oh……結局魔物かー……」

「ほら解体も一番キョウが上手いから、にゃ?」

「…………しょうがないなぁ」


 マル君の上目遣い攻撃!

 クッッッソ!かわいいいいいいなぁぁぁあ!

 …………このやりとり前もやった気がする……

 またまた白旗を上げた私は大人しく牛型の魔物を持ってキッチンに向かう。


「…………あれ、持てるか?」

「多分無理にゃ」

「馬鹿力すぎるでしょ、」

「リブロも軽々持ち上げてた癖に」

「あれはそういう魔法みたいなの使ってるから」

「ぜひ教えてほしいにゃ」

「広義で言えば魔法だけど実際は錬金術だから多分無理よ。」

「乙」

「乙ー」

「ジンはいいけどアイは許さんにゃ!」


 会話が全部貫通して聞こえる!!

 それをラジオ感覚で聴きながら牛の解体ショーを行う。

 観客はなし!悲しいね!

 ちなみにイヴたちは外で待っててくれてる。

 クローズは便利な魔法だけど使いすぎるとモンスターの体がバキバキになっちゃうから適度に出して自由にさせておくことが大事らしい。

 これはグリモアにこの前教えてもらった豆知識。

 そんなこんなでやり方もわからないまま始まってしまった肉の塩焼き。

 とりあえず、ここらへんで塩かけとく?

 多分天然の岩塩だと思われるものを拳で潰すとテケトーに振り掛ける。

 完成品を持っていくとすごい顔された。

 失礼だぞ。

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