ゲートの管理人
「あ! スティナがゲートの管理人だ」
タツキは思い出した。
地上にいた時、シムにスティナはそんな説明をしていた。
「ゲートの管理人?」
ヤイノは聞き返す。
スティナは帰る瞬間、ゲートの管理をよろしくと言ったのだ。
「なあ? スティナのことって気になる?」
とヤイノはタツキに聞く。
「そりゃ気になるよ」
「そうか」
ヤイノは明らかに落胆していた。
タツキは単純に気になるだけだったが、ヤイノは異性として気になってるんだと思った。
願わくば、そう遠くない未来に弟と好きな女を取り合う…… そんな未来が来ないことを願った。だがそんなことは杞憂だったのだが、この時のヤイノは知る由もなかった。
* * *
そこはリビングのようだった。
シュミットはリューオスをソファに座らせた。
リューオスはソファにもたれるように座ると目を閉じた。
「魔導電話ってある?」
シュミットがシムにそんなことを聞いた。
シムが頷くと、シュミットは少し不思議そうな顔をしたが隣の部屋に電話を掛けに行った。
アッゼはシムに用事があったらしく、二人はまた外に出て行った。
この部屋にメノウとリューオスの二人だけだった。
リューオスは眠ってるようだった。
本来、竜人は竜繭にくるまれて眠る。竜繭出さずに眠るということは相当疲れてる証拠だ。
さっき、リューオスは泣いていた。
メノウは、リューオスが死ぬのが怖いんだと思った。
だから「置いて行って」と言った。
メノウだって死ぬのは怖い。リューオス一人なら助かる可能性が上がると思ったのだ。
だがリューオスは置いて行くなんてしなかった。
なんて優しいんだろう。
あの時、もし置いて行かれてたら…… メノウは今ここにこうしていなかったろう。
テーブルの上に、さっきシムが持ってきた桃があった。
よく冷えたおいしい桃だった。




