釣り人のアフターケア
「水、もらってくるね」
メノウが言う。
「はい」
そんなメノウに水を差しだしたのはシムだった。
メノウから水を受け取ったリューオスは水を飲み、一息ついた。立ち上がろうとするが……
「無理するなよ」
シュミットが肩を貸し、リューオス立ち上がる。
「どこか休める場所は?」
シュミットは、シムが案内したドームへとリューオスをつれて行く。
その様子をメノウは心配そうに見ていた。
アッゼは驚いたようにシムを見ていた。
* * *
タツキが魔導電話を掛け終え、桃畑に戻って来た。
リューオスは無事居住区にたどり着けたし、そのアフターケアをシムに頼んだし、もう安心と思っていた。
桃畑の魔導エレベータの前に、ヤイノともう一人いた。
スティナではなくホウセンカだったのが意外だった。
「釣りしてないんだ……」
思わずタツキはつぶやいていた。
ヤイノと一緒にいたのがホウセンカだったのも意外だったし、釣りばかりのホウセンカがこうやって桃畑にいるのも意外だった。
「池に落ちた子どもを放っておけないだろう」
とホウセンカ。
確かにヤイノはぬれていた。ホウセンカに借りたのだろう、タオルで体を拭いていた。
「池に落ちた? 何やってんだよ」
とタツキはヤイノに言った。
「落ちたんじゃない、入ったんだ」
「なんで?」
「スティナが池に入ったから、それを追いかけた」
「え? スティナは?」
「帰った」
とヤイノ。
「帰った?」
「池の中にゲートってのがあって、それを通って帰って行った」
「ゲート!? 天空岩にゲートがあったの?」
「池の中にあった。……ゲートを知ってるの?」
「知ってるよ。地上に何個かあって、シムはそれを管理してるんだ」
なんて言っても、タツキもゲートに関して詳しいわけではない。なんとなく思い出そうと思案しはじめる。
「なんか訳アリっぽいな。まあ、無事送り届けたから俺は帰る」
とホウセンカは飛んで帰って行った。
「あ、今度、タオル返します」
とその背に、ヤイノは言ったが聞こえたのだろうか。




