恋心
それを食べてたら自然と泣けてきた。
助かってなかったら、こうやって桃を食べることもできなかったのだ。
暑い中を飛んできたせいもあるのだろう。冷えた桃が美味しかった。
気づけば皿の中の桃、すべてぺろりと食べてしまっていた。
「……かわいいな」
思わず、メノウはびくっとなった。
いつの間に起きたリューオスがこちらを見ていた。
自分が一心不乱に桃を食べていた様子を見られていたと思うと、顔から火が出そうだった。
「俺の桃、そんなに美味かった?」
微笑むリューオスだった。
その顔を見ていると、とてもとてもはずかしいメノウだった。
そこでふとメノウは大事なことに気づいた。
「これって、リューオスの桃だったの?」
「そうだよ」
「……ごめんなさい」
メノウは思った。
イチゴジャムを食われ家出した自分がまさか人の食べ物を完食してしまうなんて……
とてつもない後悔が彼女を襲う。
気づけば泣き出していた。
「……いいよ。いっぱいあるから」
メノウが大泣きするからリューオスは焦る。
大泣きしたと思ったメノウはぴたっと泣き止んだ。
「いっぱいあるの?」
「ああ。そんなに好きなら今度届けるから」
「うん」
リューオスの桃を食べてしまったのに、またくれるなんてなんて優しいんだろうとメノウは感動していた。
すっかりメノウはリューオスに恋してしまっていた。
この時メノウは誤解していて、リューオスの桃というのはリューオスが育てた桃という意味だ。
そう遠くない未来に、メノウはその誤解にに気づくわけだが、その恋心が消えることはなかった。
終




